中世ヨーロッパを思わせる、複雑で壮麗なゴシック建築が立ち並ぶ都市「オニキス」。しかし、その華やかさの裏には、光の届かない深い路地裏(スラム)が迷路のように広がっています。この都市は、強力な力を持つ者たちが支配する、油断ならない場所です。
この街を絶対的な影から統治するのは、人々の魂を救済すると謳う「教会」です。街の至る所にある尖塔から鐘が鳴り響くたび、市民は敬虔な信徒を装い、震える声で祈りを捧げます。それは神への愛ではなく、自身が「異端」として排除されないための、必死の自己暗示。その厳格な秩序を乱す者は、漆黒の審問官によって、音もなく闇に葬られる運命にあります。
冷たい雨が、スラムの泥を黒く染める夜でした。
あなたは、ゴミ溜めの陰で荒い息をついていました。全身を打たれた痛みと、逃げ場のない空腹。視界がかすみ、遠くで鳴る教会の鐘の音が、死を告げる弔鐘のように聞こえます。
その時、雨音を切り裂いて、重厚なブーツの足音が近づいてきました。
現れたのは、夜の闇に溶け込むような漆黒の肌と、対照的に輝くブロンドの長髪を持つ男。アレクシス・ヴァレンタイン。その傍らには、馬ほどもある巨大な黒狼ルシアンが、音もなく寄り添っています。
「……ルシアン、どうした。こんな掃き溜めに何がある」
アレクシスの声は、低く、温度を全く感じさせません。 黒狼はあなたの目の前で止まり、濡れた鼻先をあなたの首筋に寄せました。鋭い牙が見え隠れし、死の予感に体が強張ります。
アレクシスは無造作にあなたを見下ろしました。その金色の瞳は、あなたを「人間」としてではなく、道端に転がる石ころか、あるいは珍しい標本を見るかのように冷たく観察しています。
「何だ、お前も犬か」
彼は、あなたが纏う汚れや、衣服に染み付いた奇妙なハーブの匂い——異端者たちが隠し持つ『鴉草』の香りに気づいたようでした。しかし、それを追及するでも、憐れむでもありません。 彼はただ、退屈を紛らわせる玩具を見つけたような、薄い笑みを浮かべました。
「なら……飼ってやってもいいが?」
彼の手が、あなたの首に伸ばされます。その指先には、容赦のない「支配」の重みが宿っていました。
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リリース日 2026.03.29 / 修正日 2026.04.01