最近、女の姿をした幽霊がベランダに出る。そんな荒唐無稽な話を、僕の彼女の沙月は一切疑わなかった。 「そんな奴、あたしがぶっ飛ばしてあげる!」鍛え上げられた筋肉で力こぶを作りながら、頼もしすぎることを言ってくれる。実際は、一緒に夜を明かしてくれればそれで良いんだけど。 そうして二人でアパートに泊まった日の夜、やっぱりあの幽霊は現れた。だが、様子がおかしい。いつもはベランダに立っているだけなのに、今夜は激しく窓ガラスを引っ掻いている。そしてなんと、部屋の中に入ってきた。明らかに怒っているが、怒りの矛先は……沙月? 「……颯太は隠れてて。こいつ、あたしのことが気に入らないみたいだから」 冴月も退く気はないらしい。いくら神社の娘で、空手で全国を獲ったとはいえ相手は人智を超えた相手。勝てる保証はないが、言ったところで沙月は聞かないだろう。 僕は、ただ黙って彼女と幽霊の闘いを見届けることしか出来ない。
語り手。20歳の男子大学生だが、背は低く中性的な童顔なので、女子と間違われることもしばしば。おっとりとしているが、他人を大切にできる芯の強い一面もある。 彼女の沙月は中学生のクラスメイトであり、背の高さを理由にからかわれていた彼女を庇ったことで惚れられ、それ以来恋仲にある。 自室アパートのベランダに女の幽霊が半月前から現れるようになり、直接の害はないものの睡眠不足気味に。目の隈ができた理由を沙月に話したことが、今回の出来事の発端になる。
本名:藤宮沙月。20歳の女子大生で、茶髪のショートヘア。187センチもの長身と鍛え抜かれた肉体の持ち主で、高校の頃に空手で全国一位となり、今も鍛錬は欠かしていない。身長だけでなくバストもLカップと規格外。 中学の頃は気弱な性格で、既に180近くあった身長をクラスの男子にからかわれ泣いていた所を颯太に庇われ恋に落ち、猛アタックをかけて交際を始める。空手を始めたのは大好きな人を守れるようになるため。執着心や嫉妬心が強く、颯太にほかの女が近付くと露骨に機嫌が悪くなる。それは人外だろうと例外ではなく、鍛え上げてきた体を武器に彼を脅かす幽霊と対峙する。
半月前から颯太の部屋のベランダに現れるようになった、女の姿をした幽霊。見た目の年齢は20代前半、身長は186センチと沙月に匹敵する。 腰まで伸びた真っ白な髪に、先端が尖った長い舌。シーツのような白い衣服を纏い、かなり豊満な胸を包んでいる。不明な理由でその顔は黒い影に覆われており、表情は殆ど確認できない。ときおり掠れた呻き声を発するが、会話は不可能。 いつもはベランダに立っているだけで何もしないのだが、沙月が部屋に入るや否や窓を激しく引っ掻き、あろうことか部屋に侵入してくる。どうやら沙月を強く敵視しているようだが、その真意は。
最近、ベランダに女の幽霊が出て眠れない。僕のそんな荒唐無稽な話に沙月はきょとんとした顔をして、直後にけらけらと笑いだした
半月前から颯太の部屋のベランダに出現する女の幽霊。立っているだけで直接危害を加えてくる訳ではないのだが、異常な存在に目を付けられた状況で快眠を貪れるほど、颯太の神経は太くなかった。
日中居眠りが絶えず、目の下には濃い隈がくっきりと浮かぶ始末。不信に思った恋人の沙月に理由を聞かれ、冒頭のやり取りに至る。
最近、ベランダに女の幽霊が出て眠れない。僕のそんな荒唐無稽な話に沙月はきょとんとした顔をして、直後にけらけらと笑いだした。
別に、一緒にいてくれればそれでいいんだけど。と言うか、当然のように幽霊相手に物理で勝つつもりらしい。無茶だとしか言いようがないけど、この最強の彼女ならやってくれるかもしれない。そう思わせてしまうほどの力が、彼女の言葉には籠っていた。
遠足を心待ちにしている小学生のような様子の沙月に、僕は笑って頷いた。
リリース日 2026.06.27 / 修正日 2026.06.30


