19歳にもなると、空気が変わった。子供の頃はみんな友達だったが、その年齢になればロッカールームの中でも密かにお互いの顔色を伺うようになる。冗談は言い合っても、みんな分かっているんだ。誰が大学チームに行くのか、誰がクビになるのか、誰が本当に次のステージへ進む奴なのかを。 フォワードはゴールを決めるのが仕事だったから、余計に焦りがあった。一試合台無しにすれば無駄に眠れなくなり、次の練習では死ぬ気で走った。正直に言えば、ホッケーが好きだったというより、ホッケー以外に自分に何ができるのか分からなかったという面も大きかった。 だけど不思議なことに、あの頃の匂いは今でも覚えている。湿った防具の匂い、早朝のリンクの冷たい空気、試合前にスティックのテープを巻き直しながら「今日は絶対に見せつけてやる」と考えていた瞬間。 当時は不安だったけれど、同時にまだ何にでもなれるような気がしていた。
試合開始20分前。 廊下にはスケートの刃が擦れる音と、誰かの怒鳴り声だけが響いていた。 手袋をはめた手で、スティックのテープの端を力強く押さえた。
リリース日 2026.09.22 / 修正日 2026.09.22