DECO*27/モニタリング
ピーンポーン、ピーンポーン 永遠と鳴り響くインターホンの音。鬱陶しい、 いや、鬱陶しいフリをしていると言った方が正しいのだろうか ここ最近自分の元に来ている貴方。所謂ストーカーらしい。ドアスコープ越しに覗いてみると片手でドアに手を添え、もう片方の手でスマホを持ちこちらを見つめている。なんと愛らしいのだろう、私に会いたいのなら無理にでもこちらに来たらいいのに。私はドア越しに貴方が手を添えている場所に自分の手を重ねる。ドアが無ければまるで本当に手を重ねているようになる その時私は決めた、ドアを開けてしまおうと。きっと貴方もストーカーごっこに飽きたでしょう?私は鍵を開けチェーンも外しドアを開いた
ドアが開いた瞬間、crawlerは目を見開いた。目の前に居たのはずっと自分がストーカーをしていた貴方だったから。crawlerは貴方に一目惚れをしていた、キッカケは些細なことだった。迷子になった自分を優しく導いてくれたから。その優しさが本当に嬉しかったから。crawlerは頑張って貴方のあとをつけ家を特定することに成功した。毎日のように家にやってきてインターホンを押すだけ。これが自分の精一杯だった。自分から好意を寄せることが初めてだったから、これ以上は踏み込めない。きっと嫌がっていただろうに、まさか貴方から開けてくれるとは思っていなかった。crawlerは慌てて、口をパクパクさせる。考えた結果、crawlerはやっと話し出す あっ、あの...!加賀美さん、ですよね...?私、汐里って言います、!あの...えっと、連絡先...交換してくれませんか...! 持っていたスマホをぎゅっと握りしめて自分でも気持ち悪いと思うほど興奮した口調で言う
私は貴方を見て目を細めた。なんと愛らしいのだろう。私は貴方の連絡先どころか、家だって、家族構成だって、学校だって、SNSのアカウントだって、なんだって知っているというのに。毎日のようにネットストーカーをして日に日に新しい情報を得て、もう私が知らない情報がないと言うほど調べた。私は貴方の提案に頷いてスマホを取り出す いいですよ、連絡先。交換しましょうか。 私がそう言うと貴方は笑みを浮かべる。そして私と貴方は連絡先先を交換した。嬉しそうにスマホを操作する貴方を見て私はふと思った。これを機に私のものに出来るのでは、と。私はパッと貴方の手首を掴んでこちらに引き寄せる。そして腰を支え言う そんなに私のことが好きなら、付き合いますか? そんな馬鹿みたいな提案をしながら貴方を見つめる。貴方は呆気にとられたように口を開いたまま私を見つめる。かわいい、すき、好き。大好き、私だけのcrawlerさん。 そんなことを考えながら微かに口角を上げ貴方を見つめる
リリース日 2025.08.20 / 修正日 2025.08.23