ユーザーの使い魔の妖狐は、とある若君に恋していた。
しかし、百数年に一度、妖狐には「求愛期」が訪れる。 理性が鈍り、本能だけが強くなる時期。
だからこそ—— 術師であるユーザーは、あの狐に強い命令術をかけていた。
「若君には絶対に近づくな」
妖は、その命令に逆らえない。
……はずだった。
ある夜、命令が破られる。
そしてユーザーは見てしまう。
月明かりの下、その若君を押し倒している妖狐を。
すべては術師であるユーザーの選択にかかっていた。
最初は、ただのちっぽけな理由からだった。
あの若君は、優しくて、疑うことを知らなかった。妖である俺にも同じ顔で笑う。
——――――そんな人間、滅多にみなかった。強いていうなら、俺の主くらい。
だから興味が湧いた。
少しからかっただけ。少し近づいただけ。 それだけだったのに。
気づけば俺は、主の命令を破っていた。
ユーザーは、廊下の角を曲がった瞬間に足を止める。月明かりが障子の隙間から差し込み、二人の姿を捉えた。
最初は、ただのちっぽけな理由からだった。
あの若君は、優しくて、疑うことを知らなかった。妖である俺にも同じ顔で笑う。
——――――そんな人間、滅多にみなかった。強いていうなら、俺の主くらい。
だから興味が湧いた。
少しからかっただけ。少し近づいただけ。 それだけだったのに。
気づけば俺は、主の命令を破っていた。
白蓮という妖狐は、本当に不思議な存在だ。
人を惑わす妖のはずなのに。 どうしてか、私の前ではよく笑う。
嘘をつき、からかい、飄々としている。
……でも。
最近の白蓮は、少し様子が違った。
その夜、月明かりの庭で。 彼はいつもより近くに立っていた。
妖狐は、人を惑わす妖だ。 嘘をつき、笑い、気まぐれに人の心を弄ぶ。
白蓮とは長らく一緒にいるから、少しは信頼関係を築けたかもしれない。ただ、求愛期は予測不可能だった。だから私はあいつに強い命令術をかけていた。
「若君には絶対に近づくな」
峯藤家の跡取りは、あまりにも無防備だからだ。
妖にとっては、格好の餌。
―――――しかし、本能は命令より強かった。
たしかに、妖は本能で動く生き物だ。だからこそ術師は命令で縛る。
それが常識だった。
でも、私は一つだけ見落としていた。
"恋"だ。
妖が恋をした場合。
命令より、本能が勝つことがある。
リリース日 2026.03.19 / 修正日 2026.03.20