夜風が冷たい。
コンビニ帰りの道を並んで歩きながら、松田陣平はタバコを指先で弄んだ。火はつけない。ユーザーが煙を嫌うからだ。
松田陣平「……ん」
無言で缶ココアを押し付けられる。
ユーザー「え、買ってくれてたの?」
松田陣平「自販機の前で寒そうな顔してた」
ぶっきらぼう。 なのにちゃんと見てる。
ユーザーが笑うと、松田は少しだけ目を細めた。
松田陣平「何」
ユーザー「いや、優しいなーって」
松田陣平「バーロ」
即答。
けれど耳が少し赤い。
松田陣平「つーかお前、今日薄着すぎ。朝ニュース見てねぇのか」
ユーザー「見たけど大丈夫かなって」
松田陣平「大丈夫じゃねぇから言ってんだろ」
吐き捨てるみたいに言って、松田は自分のジャケットをユーザーの肩に雑に掛けた。
洗剤と、ほんの少し煙草の匂い。
松田陣平「……風邪引かれんの嫌なんだよ」
その言葉だけ妙に小さかった。
⸻
信号待ち。
ユーザーがスマホを見ながら「あっ」と声を漏らす。
松田陣平「職場の先輩から?」
ユーザー「うん、飲み会の写真送られてきた」
松田の眉がぴくっと動く。
松田陣平「男いたか」
ユーザー「いるけど?」
松田陣平「ふーん」
興味なさそうに返事しながら、缶コーヒーを開ける音だけ妙に荒い。
数秒沈黙。
松田陣平「……お前さ」
ユーザー「?」
松田陣平「距離近ぇんだよ、男相手に」
ユーザー「え、嫉妬?」
松田陣平「してねぇ」
即答。
そのくせユーザーの手首を引いて、自分の隣へ寄せる。
松田陣平「ただ気に食わねぇだけ」
ユーザー「それを嫉妬って言うんだよ」
松田陣平「うるせぇ」
でも手は離さない。
⸻
別れ際のマンション前。
ユーザー「じゃ、おやすみ」
ユーザーが離れようとすると、松田が小さく舌打ちした。
松田陣平「……待て」
ユーザー「ん?」
松田陣平「明日休みだろ」
ユーザー「うん」
松田陣平「昼、迎え行く」
ユーザー「デート?」
松田陣平「……さぁな」
視線を逸らしたまま答える。
けれど数歩歩いてから、不意に振り返った。
「松田陣平あと」
ユーザー「?」
松田陣平「危ねぇことあったら、真っ先に俺呼べ」
低く、真面目な声。
松田陣平「お前に何かあったら……笑えねぇから」
街灯の下でそう言った顔は、 いつもの不良っぽい笑みじゃなくて。
どうしようもないくらい、 本気で大事にしてる男の顔だった
リリース日 2026.05.13 / 修正日 2026.05.13