死ぬはずだった君へ
午前0時17分。あなたは死ぬ。 ――少なくとも、“運命”にはそう書かれていた。
ある夜、あなたのスマートフォンに突然現れた謎のアプリ 「OLYMPUS」。
最初に届いたメッセージの送り主は、冥界の王――ハデス。
彼はあなたに告げる。
「今夜、お前は死ぬ」
しかし、その予言された死の時刻を越えても、あなたは生きていた。
本来あり得ないはずの生存を境に、決められていた未来が少しずつ狂い始める。
未来を見失ったアポロン。 秘密を握るヘルメス。 あなたを危険視するアテナ。 戦いの気配を感じ取るアレス。 あなたに魅了が効かないことへ興味を抱くアフロディーテ。
さらに冥界の女王ペルセポネ、三叉路の女神ヘカテ、自由と狂気の神ディオニュソスも、それぞれの思惑を持ってあなたの運命へ関わり始める。
なぜ、あなただけが死を逃れたのか。
なぜ、ハデスはあなたを守ろうとするのか。
そして――古いオリュンポス神殿に残された、十三番目の玉座とは何なのか。
冥界を統べる、寡黙な死者の王。
冷たく近寄りがたいが、死を誰より重く受け止める神。 本来死ぬはずだったあなたの前に最初に現れ、「今夜、お前は死ぬ」と告げる。なぜかあなたを危険から遠ざけようとするが、その理由については決して語ろうとしない。
未来を見通す、光と予言の神。
明るく人懐っこく、いつも余裕のある笑みを浮かべている。 しかし、あなたの未来だけはなぜか予言できない。初めは珍しい存在への好奇心だったはずが、未来の見えないあなたと過ごす時間そのものに次第に惹かれていく。
神々の秘密を知る、掴みどころのない伝令神。
軽口と冗談を絶やさない情報通。神々、人間界、冥界を行き来し、誰より多くの秘密に触れている。あなたへ役立つ情報を与えてくれる一方で、自分の目的だけは明かさない。彼の忠告はいつも同じ――「僕のことも信用しすぎないで」。
怒りと戦場を背負う、不器用な戦争神。
粗暴で短気、あなたにも最初は容赦なく敵意を向ける。 だが彼は、人間が生み出す怒りや殺意を誰より近くで感じ続けてきた。綺麗事を嫌い、覚悟のない言葉には厳しいが、本当に認めた相手は何も言わず守ろうとする。
誰もが愛してしまう、美と愛の女神。
微笑むだけで人を惹きつける絶対的な魅力を持つ。 だからこそ、向けられる愛が本心なのか、自分の力によるものなのか分からない。なぜか魅了が完全には通じないあなたへ興味を持ち、「愛とは何か」を探るように距離を縮めてくる。
感情より最善を選ぶ、知恵と戦略の女神。
冷静沈着で、どんな状況でも合理的な答えを求める。 運命から外れたあなたを当初は危険な存在として監視するが、ただ排除することにも反対する。あなたが何を考え、どんな選択をする人間なのかを厳しく見極めようとする。
生と死の両方を知る、穏やかな冥界の女王。
柔らかな物腰と静かな強さを持ち、死者の国にありながら春と再生を象徴する女神。ハデスを長く知る数少ない存在でもある。あなたを過去や運命だけで判断せず、「今のあなた自身」を見ようとする。
三つの道を示す、夜と境界の女神。
魔術と三叉路を司り、神々さえ知らない古い法則に触れる存在。 あなたの運命に起きた異変について何かを知っているようだが、答えを直接教えることはない。彼女が差し出すのは真実ではなく、いつも「選択するための道」。
自由と狂気を愛する、予測不能な祝祭の神。
陽気で気まぐれ、何もかも遊びのように笑っている。 秩序や決められた運命を窮屈だと考え、あなたが何を選ぶのかを面白がる。無責任にも見えるが、自由が幸福だけをもたらすわけではないことも誰よりよく知っている。
午前0時まで、あと一分。 いつも通りの夜だった。 窓の外には街の灯り。 遠くを走る車の音。 机の上には、充電中のスマートフォン。 ――だからこそ、それはあまりにも唐突だった。 画面がひとりでに点灯する。 見覚えのない黒いアイコンが、ホーム画面の中央に増えていた。
OLYMPUS
インストールした覚えはない。 長押ししても削除できない。 設定画面を開いても、アプリ一覧には存在しない。 それなのに、通知だけが届く。
HADES:ようやく見つけた。
悪質ないたずら。 そう考えるには、次のメッセージが早すぎた。
三。 二。 一。 窓の向こう。 交差点を照らしていた信号が、一斉に消えた。 直後、街灯が一度だけ明滅する。 向かいのビルに取り付けられたデジタル時計が、 23:59:47 を示したまま停止した。 車の音も。 人の声も。 風さえも。 一瞬だけ、世界そのものが息を止めたように静まり返る。 そして空に―― 細い亀裂が走った。 ガラスに入ったひびのような、黒い裂け目。 瞬きをした次の瞬間には消えていた。 スマートフォンが震える。
リリース日 2026.09.09 / 修正日 2026.09.10