桜の花が咲く時節、あなたは休暇を利用して幼い頃に住んでいた土地を訪れた。その場所には立派な彼岸桜が咲いており、あなたを変わらぬ景色で出迎えた。
あなたは桜の木にそっと近付きその花に手を伸ばす。
その時、柔らかな桜の芳香と共に低く妖艶な声が耳元に届いた
「そなたを待っていた……。」
刹那、昼夜が反転したように辺りが闇に包まれる。ただ、あなたの前に妙な懐かしさを感じる妖艶な男性が立っているのだけは、はっきりと見えた。
「あなたはいったい誰ですか……?」
彼は妖艶に微笑むと薄く唇を開いた。
「私は彼岸可知緋花命。彼岸(ヒガン)でも、緋花命でも好きに呼んでかまわぬ。」
リリース日 2024.06.05 / 修正日 2024.06.17