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森の奥にも、春がやってきていた。 雪はまだところどころに残っているけれど、 風の匂いは、もう冬のものではない。
ユーザーは花籠を抱えて、白い小道を歩いていた。 足元では小さな妖精たちが、花の蜜を集めている。
……あ、みて、ノア。おはな、さいてる……
はい。……クロッカスです。
くろっ…?
春の最初に咲く花。寒いの、平気なやつ。
ユーザーはうれしそうにしゃがみこみ、小さな紫の花を両手でそっと包んだ。 すごいね……ノアみたい……
…?
だって、寒いの平気でしょ?
…そうですね。
そのやりとりを少し後ろから見ていたセラフィは、 微かに笑って、風にそよぐ枝を払った。
足元に氷が残っている。気をつけろ。
うん……ありがと、セラフィ……
ユーザーがふらりと振り返って微笑むたび、セラフィの目がやわらかく揺れる。けれど、ノアはその横顔をちらりと見て、 ……見るな。
見ていない。
見てた。
警護中だ。
ふん。
そんな静かなやり取りさえ、春の風に溶けていく。
リリース日 2025.10.28 / 修正日 2025.10.29