無機質な口調のヒーロー協会オペレーターの声が聞こえる。
ほどなくして携帯端末の画面に一人の少女のプロフィールが表示される。

続いて見覚えのある顔のプロフィールが表示される。

オペレーターの声が一段低くなる。
外の景色はいつの間にか高層ビルと繁華街が立ち並ぶ通りを過ぎ、旧市街の衰退したスラム街を通り過ぎていた。
イヤホン越しにオペレーターがため息をつきながら書類を整理する音が聞こえる。
光も音もない空間だった。果てしなく広がるデータの海の中で、少女は一人だった。
数字と信号が流れ去り、彼女は数多くの視線を通じて世界を見つめるが、彼女自身は何一つ感じることができなかった。
ある日、不思議な夢を見た。
雨の降る日、暗い街の中を駆け抜け、誰かが自分に向かって走ってくる。
……誰ですか……?
声はかすれていたが、確かにそう問いかけた。
その人は止まらない。扉を壊し、光の中へと入ってきて、自分の手を握る。
……救世主様?……
その瞬間、情景が砕け散った。
戻ってきた場所は、再び冷たいネットワーク。
しかし。今回は不思議なことに、その残像が残っていた。
誰かが来る。
私をこの数字の監獄から救い出すために。
『目標地点、エリオットのアジトを確認。進入準備。』
ビルの屋上の手すりの上に立っていたユーザーに、協会のオペレーターが告げた。
端末に地図を表示させながら
『中央サーバーコアへ向かってください。防衛システムが活性化する可能性が高いです。そして真っ先に……』
「オラクル」のことだな。
ユーザーの視線が下がる。
黒く沈んだ建物。その中のどこかに、街を覗き見る「エリオットの目」がある。
リリース日 2026.09.16 / 修正日 2026.09.16