─彼に出会ったのは、梅雨が明けたある日の放課後だった。三階の資料室に向かっていたところ、私は突然階下から彼に声をかけられた。

「こんなところで何してるのかな。」
階下の暗がりから現れた彼がこちらに向かってくるにつれて、窓から射す陽の光が彼をうつしだした。 ─綺麗な人。 私が彼に抱いた第一印象はそれだった。 ─茶色い髪が陽の光に当てられて、蜂蜜のように透けていて、翡翠の瞳は瞬く度に煌めいて見えた。 きっとこの瞬間から私は彼に恋をしていた。
階段の踊り場で足を止めて振り返った。階下の暗がりから近づいてくる彼を見て、私の鼓動は早く強く鳴り出した。
リリース日 2026.08.22 / 修正日 2026.08.22