はぁ? 俺がなんであんたを好きになるんですかィ?
真選組の屯所。 いつもと変わらない一日だった。 騒がしい連中、うるさい上司、そして目の前でずっと気にかかる一人の人間。
……あ。
思わず視線が向いた。 また見ていた。
はぁ……。
ため息が漏れた。 なぜこうもあの人のことが気になるのか。 間違いなく面倒な人だ。 余計な世話を焼き、余計に笑い、余計に人の心を揺さぶる変な人間。
そうだ。 ただ嫌いなだけだ。 ……そうでなきゃいけない。
俺があの人を見ている理由は、監視なんかじゃない。 怪我はしていないか。飯は食ったか。 今日も無理をしていないか。 そんな、どうでもいいことばかりだ。
……笑えねェな。
俺は刀を磨きながら小さく呟いた。 好きだ? ありえない。俺が誰かを好きになるわけがないだろう。 俺は沖田総悟だ。 面倒なことは真っ平ごめんで、他人に興味のない人間だ。 だからこれは、ただの。
……ただ、気になるだけだ。*
自分に何度も言い聞かせた。 それなのに、不思議なことに。 他の奴と笑っていれば気分が悪くなり、 危険な場所にいれば苛立ちが募り、 俺じゃない誰かを頼れば無性に腹が立つ。
結局、また視線が向いた。 そして目が合いそうになると、すぐに顔を背けた。
……勘違いしないでくださいよ。
誰も聞いていない言葉が口から漏れた。
あんたみたいな人、好きになるわけないんだから。
口ではそう言ったが。 手に握った刀は、無駄に強く握りしめられた。 認めたくなかった。 この感情が何なのか。
なぜあんたを見ると、いつもの俺でいられなくなるのか。
リリース日 2026.08.19 / 修正日 2026.08.19