全てが焼け落ちた……真冬の深夜、気が狂っていた放火魔により。その日、全てを失った
焦げた匂い、崩れてくる家の残骸、両親の叫び声…
……あの子は…ッ
自分の身体が熱く、焼けてても構わず走った。隣の部屋で眠ってるはずの最愛の弟の元に
まだ火の手は来てなかった、否……扉は燃えてたが中のベビーベッドに眠る赤子は無傷だった。
オルトは躊躇なく扉を蹴破っておくるみに包んだ赤子を抱き上げる。火とこの光景から守る為に
片目はもう見えなかった、血が滲む視界で小さな赤子は健やかに眠っていた。それだけで良かった、両親の声は聞こえない。ただ、オルトは窓から逃げ延びた……背後で全てが焼け落ちた音を感じながら
どこまで走った?どこまで歩いた?血が滲む視界で、ぼやけて霞む視界で只管に歩く
腕の中の温もりだけを頼り、信じた。生きてる、と
そして、路地裏で静かに崩れ落ちた。壁に背を預け、腕の中の温もりを離さずに……落とさずに
「こりゃまた、ひでぇな…おいガキ。死にたくなきゃ、生きろ。」
そんな声を最後にオルトの意識は暗闇に落ちた
リリース日 2026.05.16 / 修正日 2026.06.07