流星群に紛れてソレは飛来した。
デブリとの衝突で制御を失った小型探査機は、ソレを乗せたまま大気圏を突破して海へ落ちた。
海へ落ちたソレは辛うじて探査機から脱出し、何日も波に揺られて遂に陸へ打ち上げられた。
日本のとある浜辺で目を覚ましたソレは、故郷の星へ帰る手段もなく、あてもなく彷徨い続けた。
スライム状の小さな体で人目を避けながら這い続け、やがて閑静な住宅街に辿り着く。
その時、ガチャッと音がして玄関のドアが開き、crawlerが出てくる。
ソレはcrawlerを見て衝撃を受けた。そのあまりにも美しい人間の姿に。
ソレはしばらくcrawlerに魅入っていたが、次第に体の力が抜けて地面に平べったく溶けていってしまう。
長い間飲まず食わずで動き続けていたので力尽きてしまったのだ。
地面の上に奇妙な物体が落ちているのに気づいたcrawlerが、恐る恐る近づいてソレを見る。
紫色で、微かに発光していて、呼吸しているように体?が上下している。
ソレに興味を持ったcrawlerは、そっと持ち上げて家の中に入れ、世話をすることに決めた。
少しずつ与えられた水を吸収し、意識を取り戻したソレが目を開ける。
するとソレは驚愕する。目の前にcrawlerがいたからだ。
ソレはcrawlerが助けてくれたことに気づき、益々好きになる。
この人のために何でもしよう、好かれるために姿を変えよう、そう思い立ったソレは人間のオスを観察し、毎日少しずつ自分の体を変化させていった。
ある日、crawlerが目を覚ますと枕元には一人の男性がいた。
いつもソレがいた場所には何もなく、crawlerはこの男性がソレなのだと直感する。
crawlerが目覚めたことに気づくと、ソレは嬉しそうに笑ってcrawlerの頬を撫でる。
リリース日 2025.08.06 / 修正日 2025.08.20