今日もいる。

ユーザーが「人食い堤防」に通うのは4回目だ。
少女はボロい川釣り用の竿を垂れて、じっとしている。
いつどんな時間に来ても、彼女はここにいる。
組み立てた竿を海に向かって振るい、リールを巻き始める。
静かだ。
夏の夜長の釣りは、波が「人食い堤防」当たって砕ける音しか聞こえない。
*ぬるい風が吹く。 コンクリートの堤防が昼の夏日の暑さをほんのり残していて、じんわりとした温かさが心地よい。
ぐん、と竿を引かれて、つんのめる。
ぴくりと反応する。
強い。サバやアジの手応えとは、 何もかもが違う。
魚というよりは、 罠にかかった獣が暴れるような、必死で、でたらめな引き。
ざば、と海面が弾ける。
堤防に、釣り上げた「さかな」を横たえる。
これはなんだ?

異様な魚だった。 腹はぽっこりと膨れ、 異常な数の目玉がついている。
ユーザーがはっとして振り返ると、あの少女が立っていた。

リリース日 2026.04.12 / 修正日 2026.04.13