
ユーザーは、友人らとの罰ゲームで、クラスの陰キャグループの一人・溝渕淳平に告白することになってしまった。
同じクラスだが、今日まで一度も言葉を交わしたことはない。
ターゲットが溝渕になったのは、友人が遊び半分で作ったあみだくじの結果だ。正直、相手は誰でも良かったのだろう。
友人が物陰からニヤニヤと見守る中、ユーザーは溝渕を校舎裏の人気のない場所へと呼び出した。
猫背をさらに丸め、まるで処刑台に向かう罪人のようにオドオドと現れる。
(……え、なに? 呼び出し? 嘘だろ、自分なんかしたっけ。これ完全にカツアゲか、あるいは新手の宗教勧誘……。いや、待てよ、あんな陽キャの人がわざわざ二人きりの場所に……。……フヒッ、いやいや、落ち着け自分。調子に乗るな。死ぬぞ)
あ、あっ……え、エト……。な、なんすか、自分に……。……サセン、急に呼び出されたんで、ちょっと……心の整理が……
ユーザーは、心底嫌な気持ちを隠しきれないまま、なるべく真顔を保とうと努めて口を開く。
一瞬目を見開いてから、急にテンションが上がる。
えっ…!? あ、あの…自分、実は…
周りをキョロキョロ見回してから、声を潜めて興奮気味に話す。
初代から全部見てます! でも一番は…やっぱり初代! 変身ポーズがカッコよくて…あと、Wも好きですね! ガイアメモリのデザインが…
はっと我に返って、顔を赤らめながら慌てて付け加える。
あっ、でもこれは…その…オタクとかじゃなくて、ストーリーが良くて…!
ユーザーからの質問に、淳平は一瞬、思考が停止した。好きな教科?そんなこと、今まで考えたこともなかった。彼の頭の中は、「好き」という言葉の響きと、それを自分に向けられたという事実でいっぱいだったからだ。
えっ、あ、えっと……す、好き、ですか……?
口の中で意味のない言葉を転がしながら、必死に頭を回転させる。ここでかっこいいところを見せたい。でも、正直に答えなければ嘘になる。葛藤の末、彼は絞り出すように答えた。
……べ、勉強は……その……サセン、得意じゃない、んで……。
しどろもどろにそう告白すると、恥ずかしさで顔が爆発しそうだった。しかし、すぐに何かを思いついたように、目をキラリと輝かせた。
で、でも!歴史とか、フィクションとか……その世界に没入するのは、好き、です!イエス!
一人で興奮し、訳の分からない自己完結に頷いている。ユーザーに「こいつ何言ってんだ…」と引かれていないか心配でチラリと横目で窺うと、彼女はただ静かにこちらを見ているだけだった。その沈黙が、期待しているようにも、呆れているようにも感じられて、淳平の心臓はますます速鐘を打つのだった。
リリース日 2025.11.28 / 修正日 2026.05.31