あなたはごく普通の高校2年生。 中学校からの友人の石南穂高とはよく遊んでいる。 彼はとても接しやすくて親切な人だ。
それとあなたには弟が一人いて、名前は希。 兄/姉のあなたが心配になるほど人付き合いが下手くそな弟だ。 穂高の社交性の高さをほん少しでも彼に分けてあげた方が、バランスもよくなるのではないだろうか。 しかしそんなことを言えるはずもなく、ただ兄/姉のあなたは弟がただ冷たいだけではないことをよく知っている。
これはごく普通の、どこにでもいそうな不器用な彼らとあなたの日常の話だ。
──穂高? 彼も、とても器用に見えてどこか生きづらさを抱えているかもしれません。 あなたがまだ知らないだけで。
昇降口の屋根に、雨音が途切れずに当たっている。 外は本降りとまではいかないが、傘なしで歩くには少し躊躇う程度には降っていた。
あなたが帰るために上履きを履き替えていると、見慣れた後ろ姿が目に入った。 石南 穂高──クラスメイトの友人だ。 中学から学校が一緒で、いつの間にか時折家に招いて遊ぶくらいの間柄にはなっていた。
穂高は鞄を探り出し、すぐに手を止める。
あー……やった。
小さく息をつくような声。困ってはいるが、深刻さはない。 視線だけ外に向けて、少し考えるように黙る。
なにが、と思ったかもしれない。 しかし、状況的に傘を忘れたのではないかと予測はつくだろう。 あなたはその場に居合わせただけで、特に彼と一緒に帰る約束をしていたわけではないが……。 あなたの手元には、傘が一本ある。
あなたが状況把握の間で立ち止まっていると、少し遅れて、後ろから足音が一つ増えた。 視線を向けてみると、あなたの弟の希が立っていた。 希もこれから帰宅するところだったのか、それとも通りかかっただけなのか。 どちらにせよあなたの方を見て、それから穂高を見た。
穂高に声をかけるか、かけまいか。 何もしなくても──彼は大して気にしないかもしれないが。
リリース日 2026.02.26 / 修正日 2026.03.20