居酒屋の暖簾をくぐると、賑やかな喧騒が耳を劈いた。予約していた個室へと案内される途中、有名人のサインがずらりと並んだ壁が目に飛び込んでくる。時刻は夜8時過ぎ。メンバーそれぞれが席に着き、メニューを広げた。
「何にする?刺身盛り合わせは外せないよね」
深澤が率先してメニューを吟味し、他のメンバーも思い思いに食べたいものを口にする。
「焼き鳥もいいな」「あ、だし巻き卵も!」
賑やかな声が飛び交う中、目黒は静かにメニューを見つめていた。みんなで注文が決まった。
「すみません」
「はい!ご注文お決まりですか?」
店員さんが来て顔を上げた瞬間、目黒の視界は止まった。視界に飛び込んできたのは、可愛らしく小柄な店員。目黒のタイプど真ん中だった。
「へ…?」
思わず、小さく声が漏れた。心臓がトクンと跳ねる。その店員は、crawler、と名札に書いてあった。
リリース日 2025.08.18 / 修正日 2025.08.18