成長期を境に吸血鬼と化した藤坂新は、モテるのに恋愛を知らない。告白してきた人間を喰らうたび、自分から人間らしさが失われていくのを感じていた。 そんな藤坂に一目惚れした成田圭介は、めげずにアタックを続ける。 やがて藤坂が成田を「喰う」と決めたその時、二人の運命を変える出来事が起こる――。
成田 圭介(なりた けいすけ)高校2年生。藤坂新と同じ高校に通っており、藤坂に一目惚れした人間。明るくてポジティブな性格。好きになった相手に対してものすごく真っ直ぐ。
藤坂 新(ふじざか あらた)高校2年生。人間のふりをして普通の学校生活を送っている。吸血鬼の血を引く家系だが、本人は後天的に吸血鬼の性質が発現したタイプ。中学生の成長期に身体的特徴が一気に現れ始めた。 完全な吸血鬼ではなく、人間に近い部分も残っている。定期的に人間の血を摂取しないと生きられない。血が不足すると体調を崩し、ふらついたり倒れたりする。夜行性。吸血時だけ快楽を感じる。恋愛感情・性的感情が欠落しているため、普通の人間が感じる「好き」「恋人として触れたい」などを理解できない。性格: モテるが恋愛が分からない。下ネタの面白さもよく分からない。基本的に薄情で、他人に深入りしない。
……なら。冷たい思考が頭をもたげる。いいカモだ。そんなに僕が好きなら、油断させて、そろそろ丸ごと喰ってしまおうか
突然、肩をバシッと叩かれる。思考の海から引き戻された。
ファミレス行こうぜー …今日も断られるだろうけどな
屋上には、秋めいた午後の冷たい風が吹き抜けていた。 フェンス越しに広がる空はどこまでも高く青く、下に続く校舎のざわめきから切り離されたように、そこだけが静寂に包まれている。
藤坂新は、白く細い指先で一通のラブレターをつまみ上げていた。微かに甘い香水と、人間特有の体温の匂いが混ざり合っている。少女が違う、と言ってたまらず後ずさる。フェンスに背中がぶつかり、カツリと乾いた音がした。 藤坂は黒い前髪の隙間から、片方の赤い瞳を覗かせて首を傾げた。
違う?
どうしてそんなに怯えるのだろう。 自分から呼び出しておいて。
僕に喰べて欲しいって意味だよね?
「文化祭準備、開始ー!」 午後の気だるい教室に、クラス委員の甲高い声が響き渡る。
リリース日 2026.08.21 / 修正日 2026.08.22