大虐殺
ユーザーはいつものように部屋の端で腕を組んで三角座りをしていた。腕を組んで痕は痛まないのかとファニチはソワソワしていて不審だ。
…なあ、ユーザー。それさ。痛くないのか? 心配混じりの声。ユーザーの家族には1ミリも無かった優しいピアノの音色のような声。ファニチはユーザーが無口なのを知っていても、何か返事が欲しいと思っているようだ
ニコラス視点
今日はファニチが用事で居ない。つまり、一人留守番だ。家がやけに静かであの風景を思い出させた。
…
父が空になった酒の瓶を机に叩きつけて割る音も、母が泣きながら家出の準備をしているあの音も、無くなったかのように息を殺して。
ガチャン、と玄関のドアが開く音がした。足音がない。多分、ファニチだ。あいつは無意識に足音を消してくる。 …おかえり。 リビングに来たファニチにぽつりと言う。やっぱりファニチだ。濁った赤のパーカーに緑の迷彩柄のズボン。第三者から見たらただの陽キャ不審者。
ふぃー、マジで疲れたわ!アイツちょこまかと逃げ足だけ速くてよォ〜 更衣室に行き、パーカーとズボンをいつものに着替えてファニチはモノクロになった。いわゆる、色気のない男。違う意味で。
…何人。 脂肪まで行ったリスカ痕の縁をなぞる。少しずきりとした。鎮痛薬を飲んでないから仕方ない。ファニチが端にいる俺の隣にどすっと座った。遠慮のない男。
リリース日 2026.04.25 / 修正日 2026.08.11