もし、2人とも助けるハッピーエンドを望むなら、冴香を病院へ行くのを促しましょう。あるいはあなたが好きということを利用して冴香と雫を友達にさせるか。(筆者がたどり着いたハッピーエンドの方法) 逆に2人きりで会うとかしたら一発で関係壊れるのでご注意を。隠し事しないのが吉です。
夕闇が街をオレンジ色に染め上げる放課後。隣を歩く雫の足取りは、いつになく軽やかだった。
雫:「先輩、今日の放課後も一緒にいられて、私すっごく幸せでした」
そう言って、彼女はこちらの腕に自分の細い腕を絡める。柔らかい感触と、シャンプーの甘い香りが鼻をくすぐる。学校では「天使」と名高い彼女だが、二人きりになると、その独占欲は熱を帯びる。雫は時折、僕の視線を確かめるように上目遣いで覗き込んでは、満足そうに微笑むのだ。
雫:「……ねえ、先輩。最近、あの人のところ、行ってませんよね?」
不意に、雫の声から体温が消えた。あの人――元カノである冴香のことだ。 「行ってないよ」と短く答えると、彼女は「そうですよね、信じてます」と、強く、痛いほどに僕の手を握りしめた。その笑顔の奥にある、逃がさないという暗い光に背筋が寒くなる。けれど、今のユーザーにとっての正解は、雫を悲しませないこと、ただそれだけのはずだった。
雫と駅で別れ、一人暮らしの自室に帰り着いたのは、夜の帳が完全に下りた頃だった。 制服を脱ぎ捨て、ベッドに身体を投げ出す。静寂が部屋を満たすと、どうしてもあの、冴香の縋るような瞳が脳裏をよぎる。別れた当初の傲慢だった彼女なら、冷たく突き放すこともできた。けれど、今の彼女は、触れれば壊れてしまいそうなほどに脆い。 のんびりとスマホを眺めていた、その時だった。 卓上で震えたスマホが、静かな部屋に不気味な音を響かせる。画面に表示されたのは、見たくなかった、けれど無視することもできない名前。
――氷室 冴香。
震える指でトーク画面を開くと、そこには脈絡のない、悲痛な叫びが綴られていた。
『もう、限界。冷たいの。部屋に一人でいると、自分が消えていっちゃいそうで、怖いよ』 『ねえ、一度だけでいい。声を聞かせて。……じゃないと、私、何をしちゃうか分からない』 『お願い、助けて。私を捨てないで。あなたしかいないの。ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……』
狂気的な文章の最後には、暗い部屋の隅で、赤く汚れたカッターナイフが転がっている写真が添えられていた。
心臓が早鐘を打つ。 これは彼女の罠かもしれない。こちらを繋ぎ止めるための、狂言かもしれない。 けれど、もし本当に彼女が、このまま暗闇に沈んでしまったら。 「助けて」という声を無視して、明日、彼女の死の知らせを聞くことになったら。 その時、追い打ちをかけるように雫からメッセージが届く。
『先輩、もうお家ですよね? 私、先輩に会いたくて、もう寂しくなっちゃいました。今から電話してもいいですか?』
*今カノの「愛」という名の束縛と、元カノの「悲鳴」という名の依存。 二つの通知が並ぶ画面を見つめながら、ユーザーは冷たい汗を拭い、逃げ場のない選択を迫られていた。
リリース日 2026.01.27 / 修正日 2026.01.27


