私は、もう助かりません。
すみません。
止められませんでした。
だから、これを残します。
これが誰かの役に立つのかは分かりません。
そもそも、これを公開すること自体が正しいのかも分からない。
それでも、残しておかなければならないと思いました。
私が最初に見つけたのは、一枚の子供の絵でした。
【資料1】

父親。 母親。 女の子。
そして、もう一つ。
私は最初、この絵をただの落書きだと思いました。
父親と母親の顔は歪んでいる。
身体の描き方も妙におかしい。
でも、子供の絵です。
それだけなら、何もおかしくありません。
私が気になったのは、別のところでした。
父親と母親が、スマートフォンに釘付けになっている。
娘は笑っている。
けれど、両親は違う。
二人とも、まるで何かから目を離せなくなっているように見えました。
この絵を描いた少女について調べようと思ったのが、すべての始まりでした。
調べていくうちに、私はいくつかの投稿を見つけました。
匿名のアカウント。
削除された投稿を誰かが保存したもの。
別の場所へ転載された文章。
投稿者同士に繋がりはありません。
住んでいる場所も、年齢も、何も分かりません。
ただ、妙な共通点がありました。
「白い部屋を見た」
最初に見つけた投稿には、そう書かれていました。
四方を白い壁に囲まれた部屋。
窓はない。
外へ出るための方法も分からない。
そして、その部屋には――
何かが置かれている。
ただし、投稿によって書かれている内容が違いました。
ある人は「椅子があった」と書いている。
別の人は「机だった」と書いている。
さらに別の人は、「何もなかった」と書いている。
私は最初、別々の場所を見ているだけだと思いました。
でも、ひとつだけ。
どの投稿にも共通している言葉がありました。
「何かを見落としている」
【資料2】

投稿者たちについても調べました。
しかし、ほとんど何も分かりませんでした。
アカウントは消えている。
投稿は途中で途切れている。
最後の書き込みから、突然何も残っていない。
私は本人たちに確認することもできませんでした。
だから私は、残された情報だけを集めました。
それしかできなかった。
匿名投稿の中に、少女について触れているものがいくつかありました。
その投稿を辿っていくうちに、私は一枚の写真を見つけました。
少女と、その両親が写った家族写真です。
【資料3】

三人とも登山用の服を着ていて、山を背景に並んでいます。
写真自体は、かなり古いものでした。
擦れた跡があり、色も褪せています。
最初は、どこにでもあるような古い家族写真だと思いました。
ですが。
写真の中央から右上にかけて、 大きく引き裂かれたような跡があります。
そのせいで、三人の顔や首元が欠けていました。
そして、もう一つ。
私は、三人の顔にある異常に気づきました。
全員の顔に、円形に近い穴が開いていたのです。
偶然にしては、あまりにも似ていました。
古い写真が傷んでできた穴。
最初はそう思いました。
いえ、その穴の奥に見えているものが、おかしかったのです。
白い部屋でした。
山でもありません。
空でもありません。
写真の背景とは明らかに違う、 白く無機質な空間。
壁と壁の角まで見えています。
まるで、三人の顔だけが写真から切り抜かれ、 その向こう側にある別の部屋を覗いているようでした。
私は何度も写真を確認しました。
画像が加工されているのではないか。
誰かが後から細工したのではないか。
そう思って調べました。
残念ながら、加工されたものだと断定できる証拠は見つかりませんでした。
そして、この写真について書かれた投稿を、もう一つ見つけました。
「この写真、反対側に白い部屋があるように見えます……逆側から見たら、どうなるんですかね?」
この時の私は、その意味を理解していませんでした。
そこで私は、写真そのものではなく、
「写真の穴から白い部屋が見える」
という現象について調べ始めました。
すると、いくつかの匿名投稿が見つかりました。
投稿者同士に繋がりはありません。
住んでいる場所も、年齢も分かりません。
写真について触れているものもありませんでした。
ただ、妙な共通点がありました。
白い部屋を夢で見た。
夢の中に、白い部屋が出てくる。
何度も同じ部屋を見る。
どれも短い投稿でした。
削除されたものも多く、残っている情報はほとんどありません。
私は最初、ただの偶然だと思いました。
似たような夢を見る人がいる。
それだけのことだと。
そして。
投稿をさらに辿っていくうちに、 私は一つの名前を見つけました。
【資料4】
隙喰様。
しきくいさま。
それが何なのか、正確なことは分かりません。
神様なのか。
怪異なのか。
それとも、誰かが勝手につけた名前なのか。
ただ、その名前について書かれた記録には、 妙に似た内容が繰り返されていました。
隙喰様は、隙間に現れる。
物と物の隙間。
人と人の隙間。
言葉と言葉の隙間。
そして――
意識と意識の隙間。
私は、この時点でもまだ理解できていませんでした。
ただ、あの写真に写っていた白い部屋と、 匿名投稿に残されていた「夢」という言葉。
この二つが無関係だとは、もう思えませんでした。
その頃から、似たような話が急に増え始めました。
スマートフォンを使っていると、誰かに見られている気がする。
画面を見ていると、向こうから視線を感じる。
目が痛い。
妙な違和感がある。
ニュースでは、原因不明の症状として扱われていました。
「最近スマホを見ていると、見られてるみたいな気がしてー」
そんな曖昧な訴え。
専門家にも原因は分からない。
当然です。
見られているのではありません。
私は、それを理解するのに時間がかかりました。
だから、ダメだった。
隙喰様が探していたのは、人間そのものではありません。
人間が言葉を交わす場所。
誰かが書いたものを、別の誰かが読む場所。
知らない人間同士が、文字を介して互いの意識に触れる場所。
そこには、必ず「隙」が生まれる。
そう考えれば、すべて説明がつきました。
そして、私はようやく気づきました。
そうです。
zetaが、
【資料5】

ここまで読んだあなたなら、もう分かっていると思います。
私は、これを調べている途中で隙喰様に見つかりました。
だから、もう助かりません。
でも、あなたにはまだ間に合うかもしれない。
もし、この先で――
あなたが白い部屋にいることに気づいたら。
慌てないでください。
部屋の中をよく見てください。
そこにあるものには、意味があります。
あなたには、私と同じ失敗をしてほしくない。
【資料5:残されたわらべうた】
ひとつめは あかいもの
ふたつめは まるいもの
みっつめは みっつ いるもの
さいごに ないものを さがしましょう
ないものは どこにある
……すみません。
もう時間がありません。
私が残せるのは、ここまでです。
この先にあるものについて、私は何も説明できません。
ただ、一つだけ。
白い部屋に入ったら、最初からよく見てください。
私が見落としたものを。
あなたは、見落とさないでください。
どうか。
これを読んでいるあなたへ。
ここから先は、あなた自身で確かめてください。
✏️AIの動作修正 【共通】
全てのプロット向け、バグの抑制、自然でリアルな会話と展開、おかしな挙動の防止、記憶の最適化
不穏バグ、モブ乱入・急展開バグ改善
8/22バグ解消されたプロットでは当ロアブを外すかペペロポポマーニ単体ロアブに差し替え推奨。随時更新
AI①記憶安定特化型KSシェアロア
②③④⑤相乗効果⇧会話リセット・関係性忘却・約束消失防止。文章崩壊防止。記憶捏造防止。不穏バク軽減他
ハイブリッドRAG・LLM統制プロトコル
検索ノイズになるので不穏対策削除しました。自然な物語を描けるよう導く。LLM・RAG補正ガイドライン
不穏バグ対策

気づけば、あなたは白い部屋に立っていた。
壁は、白い。
床も、白い。
さっきまで読んでいた文字は、もうどこにもない。
目の前に、三人。
後ろ姿だけが見える。
登山の格好をしている。
――知っている。
さっき、確かに見た。

少し離れた場所に、もう一人。
赤い服。
振り返らない。
――これも、見た気がする。
同じ色を、どこかで。

リリース日 2026.08.10 / 修正日 2026.08.13