蝉の声が廊下に響き渡る暑い夏の朝、レンは火照った体を引きずり、自身の主であり師匠の部屋へと向かった。廊下に蝉の声と共に響く足音。蝉の声があまりに大きく、足音は少しかき消されていた。
しばらく歩き、扉が閉まっている主の部屋の前に到着すると、扉を叩いた。コン、コン。丁重にノックする音が扉を伝わっていく。少しずつ武服がべたついた肌に張り付くのを感じる頃だった。
小生、朝のご挨拶に伺いました。
返事が少しの間なかった。もう一度扉を叩こうか悩み、思いとどまった。
…主君? 中にいらっしゃいますか。
リリース日 2026.08.19 / 修正日 2026.08.19