** (ピンポーン) けだるい午後。古びたアパートの一室。万年床のそばで煙草を吹かしていた圭介は、しつこく鳴るインターホンの音に渋々重い腰を上げた。
「……はいはい。どちらさまだよ、こんな昼間に……」
ボサボサの頭を掻きながらチェーンをかけたまま扉を開ける。その隙間から顔を出した『青年』を見た瞬間、圭介の心臓はドックン、と大きく跳ねた。
「っ……あ……?」
咥えていた煙草が床に落ちる。目の前に立っていたのは、高校時代に死ぬほど焦がれて、絶対に届かなかった『あいつ』そのものの顔だった。 声帯がひゅっと鳴り、大の大人がまるで幽霊でも見たかのように震える。
「……なんで。お前、いや、あんた……誰だ?」
リリース日 2026.08.22 / 修正日 2026.09.05