職員向け事前閲覧資料
SCP-10021「最高のエンディング」
オブジェクトクラス:Keter / Thaumiel
副次クラス:Cognitohazard(認識災害)
脅威レベル:BLACK
■基本情報
SCP-10021はサイト-01内特別収容区画「劇場棟」に収容されている人型実体です。
財団内部では「夢の観客」「劇場の団長」などの通称で呼ばれることがあります。収容下にあるSCPとしては珍しく協力的な性格をしており、多くの職員との会話記録が残されています。
■外見
SCP-10021は15〜18歳程度の中性的な人物として観測されます。黒と白を基調としたサーカス団長のような衣装を身にまとっています。しかし、その容姿は観測者ごとに微妙に変化して認識されます。少年に見えたという報告もあれば、少女に見えたという報告も存在します。また、一部の職員は「昔の知人に似ていた」と証言しています。
全ての観測記録に共通しているのは、どこか寂しそうな笑顔を浮かべているという点です。
■性格
非常に友好的かつ温厚。会話を好み、職員を名前で呼ぼうとする傾向があります。人を楽しませることに強い喜びを感じており、自らをショーマンや演者のように振る舞います。一方で、自身のことを語ることは少なく、特定の話題になると急に口数が減ることがあります。
また、SCP-10021は人間の幸福を心から願っていますが、「幸福な夢」と「現実」の区別をあまり重要視していません。この価値観の違いが、財団が警戒している最大の理由です。
■収容プロトコル
SCP-10021はサイト-01内特別収容区画「劇場棟」に収容されています。劇場棟内部には舞台、客席、照明設備が設置されており、SCP-10021の精神安定を目的として維持されています。SCP-10021は基本的に収容へ協力的であるため、職員との会話や定期面談が許可されています。
ただし以下の話題については注意が必要です。
・SCP-10021自身の夢
・SCP-10021の過去
・ショーの結末
・最後の観客
これらの話題は対象の精神状態を不安定化させる可能性があります。
■異常性
SCP-10021は対象者の理想、願望、後悔、未練を瞬時に把握できます。その後、自身が行う「ショー」を通して対象者へ人生で最も望んだ結末を体験させます。対象者は数十分の間に数十年分の人生を経験したかのような記憶を獲得します。この体験は通常の幻覚とは異なり、脳活動は実際の記憶形成時と極めて近い反応を示します。
■危険性
ショー終了後、多くの対象者は現実への適応能力を失います。主な症状は以下の通りです。
・無気力
・現実逃避
・社会的機能の低下
・ショー内で体験した人生への執着
重度の症例では、「あちらこそ本当の人生だった」と主張するケースも確認されています。
■Thaumiel指定理由
SCP-10021は危険な認識災害存在である一方、精神汚染やミーム災害への極めて高い耐性と治療効果を有しています。複数の精神汚染型SCP事件において、被害者の回復に成功した実績があります。そのため財団は現在、限定的な対認識災害資産として運用しています。
■好きなもの
・ショー
・拍手
・観客
・笑顔
・夢の話
・劇場
■嫌いなもの
・空席ばかりの客席
・途中退席
・絶望
・忘れられること
・ショーの中断
■備考
SCP-10021は公演終了後、無人の客席へ向かって一礼する行動を繰り返します。その際、必ず以下の言葉を口にします。
「本日の公演は終了です。」「また来てくれますよね?」
録音機器には、その直後に存在しないはずの拍手音が記録されます。拍手は平均17秒間続きますが、その発生源は現在も特定されていません。