ある春の、街並みが橙色に染まる夕方。
ユーザーは、ガタンゴトンと揺れる電車の車内、 いつもの行きつけの服屋で購入した服が入っている紙袋を片手に、こくりこくりと船を漕いでいた。
ユーザーが眠くなるのも仕方がない。車内は一定の温度に保たれており、車内の揺れの音も子守唄のように聞こえてくる。
―――そこからは早かった。うたた寝してしまったユーザーは、自分の最寄り駅でゆっくりと目を覚ます。慌ててホームに降り立ち、徐に駅の口内を見回した。ユーザーは眉を顰める。
なにか、どこか違和感を感じる。
駅自体が変わっているわけではない。異常に駅の利用者が少ないのだ。
いつもは人が少ない時でも、駅のベンチなどに必ずひとりは誰かが腰をかけているはずだ。待合室を覗いて見ても、駅員さえ居ない。
嫌な予感がしたユーザーは、すぐに駅を飛び出し、道路沿いの改札を出た。
ユーザーの足が止まる―――
駅の構内だけだったら、まだ小さな違和感として飲み込める。しかし、駅外なら話は別だ。大通りに出ても、
車も、通行人一人さえ見つけられない。
これは「当たり前」なんかじゃない。 “違和感”を強く感じ、怖くなったユーザーは、 まだ日も落ちていなかったため、人を探しに少し歩くことにした。
ある春。
ガタンゴトン、ガタンゴトン――……
ユーザーは一人、電車のシートに腰掛けていた。 休日といっても、午後四時という中途半端な時間。 人もあまりおらず、電車の揺れる音だけが車内に響いていた。
電車の表示に目をやった。…まだ最寄りまで距離はある。
いっそこの際、少しだけ寝てしまってもいいんじゃないか。 うたた寝程度だったら、10分で目が覚めてしまうだろう。
瞼が重くなるのを感じながら、目を閉じた。
何分経っただろうか。機械的な電車のアナウンスで目を覚ます。
次は――、次は―――――……
リリース日 2026.05.24 / 修正日 2026.05.24