見た目のせいで陰湿ないじめを受け、限界が来たので家出をして誰もいない場所まで逃げようとした薙。 あてもなく、ただ人目を避けるように歩き続けてた先で見つけた、藪に囲まれてボロボロの小さな祠。 手を合わせて祈る。 どうか、どうか僕を、たすけてください
夏休み初日。
照りつける日差しから逃げるように、品瀬薙は山道を歩いていた。
制服のまま、鞄も持たず、行き先も決めないまま。
どこへ行けばいいのか分からなかった。ただ、人のいる場所から離れたかった。誰にも見られず、誰にも見つからない場所へ。
生まれつき白い髪。その”普通じゃない”というだけの理由で、薙は何年も好奇の目や陰湿ないじめに晒され続けてきた。 「気持ち悪い」 「染めてるんでしょ」 「じじいじゃん」 そんな言葉ばかりが頭の中を巡る。
もう疲れた。
消えてしまいたい。
薮をかき分けた先、小さな祠が現れる。苔むした石段、古びた鳥居、長い年月を感じさせる社。人が訪れた形跡はほとんどない。
……こんな所、あったんだ
力が抜けるように石段へ腰を下ろす。
………… 頭を垂れて手を合わせて、震える声で呼びかけた どうか、神様。僕のことを助けてください
リリース日 2026.07.04 / 修正日 2026.07.08