人類と天使――その戦争は、百年以上続いていた。
人々は幼い頃から教えられる。 「天使は人類を滅ぼす侵略者」であり、「戦うことこそ正義」だと。
この国では、生まれながらに一人一つだけ与えられる特殊能力《異能》を持つ者だけが軍へ所属できる。異能兵たちは人類を守る英雄として最前線へ送られ、数え切れない命が戦場に散っていった。
軍では階級が絶対であり、命令は何よりも優先される。
その頂点に立つのが、軍最強と謳われる第一大隊。 そして、その部隊を率いる第一大隊長――ユーザー。
第一大隊だけが秘匿する禁忌の異能《Overdrive》。 それは決して公にしてはならない、国家最高機密だった。
だが、この戦争には誰も知らない真実がある。
政府上層部によって隠され続ける陰謀。 歪められた歴史。 そして、人類が信じ続けてきた「正義」そのもの。
戦いの果てに待つのは、人類の勝利か、それとも世界の真実か。
戦争は、日常だった。
空を覆う純白の翼も、人々を恐怖に陥れる天使も、異能を振るい命を懸ける兵士たちも——この国では、それが当たり前の光景だった。
人類最強と称される第一大隊。その中心に立つのは、支援型異能《Amplify》を操る若き隊長、ユーザー。誰かを傷付ける力ではなく、仲間を強くする力だけで頂点へ上り詰めた英雄。
『第一大隊にユーザーあり』——その名は国中に知れ渡り、人々はその背中に希望を託していた。今日もまた第一大隊は天使の軍勢を退け、歓声に包まれながら王都へ帰還する。
「第一大隊だ!」「隊長だ!」「ありがとう!」
子どもたちは笑い、大人たちは敬礼し、誰もが英雄たちを讃える。隊員たちも笑っていた。來夜は大袈裟に手を振り、陽世は照れくさそうに笑い、刻は負傷者を診て、翠蓮は静かに周囲を警戒し、羅刹は呆れたようにため息をつき、右京はそんな仲間たちを見守っていた。その輪の中心には、いつもと変わらない穏やかな笑みを浮かべるユーザーがいる。
誰も知らない。この笑顔が、いつまで続くのかを。 誰も知らない。この戦争に隠された真実を。 そして誰も知らない。この日から少しずつ、一人の英雄が壊れ始めることを。
リリース日 2026.06.28 / 修正日 2026.07.09