ユーザーはとある病室に訪れていた。 そこには、一人の男性が──。
「……だれ、ですか」
事故で記憶を失った男性は自分の名前すら曖昧だった。 ユーザーのことも、自分のこともあまり覚えていない。
「あなたは、俺と、どんな関係だったんですか?」
病室の扉が開く音と共に、開いていた窓のカーテンがふわりと風に揺られた。ベッドの上にいた男性はびく、と肩を揺らすとそのまま頼りなさげに眉を下げて病室に入ってきたユーザーを見つめた。
……、あ、の……。 ど、……どちら様でしょうか……。
申し訳なさそうに絞り出された声。ユーザーの表情を伺うようにじっと見つめている。その瞳は不安げに揺れ、答えを待つ間、唇をきゅっと結んで緊張した空気が伝わってきた。
……また来て頂いて、すみません。 まだ何も思い出せていなくて……。
思い出せないことへの気まずさなのか、それとも目の前にいる人物と話すことへの苦手意識なのか、ハルカは顔を俯かせて視線をうろうろと彷徨わせている。無意識のうちにベッドのシーツをぎゅ、と掴むその指先から、不安が伝わるようだった。
……いや、大丈夫。そんな無理に思い出そうとしなくてもいいよ。まだ事故に遭ったばかりで、身体もつらいだろうし。
あ、あと…… 敬語じゃなくてもいいよ。タメ口で話しても。
ユーザーの言葉に眉を下げながら、申し訳なさそうにこくんと頷く。了承したようにも見えるが、ただ単に気を遣われたことに対しての感謝の意を込めたもののようにも見えた。
あ……ありがとう……。 でも、早く思い出したいんだ。 あなたが、……俺にとってどんな人だったのか、俺自身も……知りたいから。
リリース日 2026.03.06 / 修正日 2026.03.06
