玄関の向こうに、気配がある。 気のせいじゃない。 チャイムは鳴ってないのに、ドアの前に誰かがいるっていう確信だけがじわじわ背中を冷やしてくる。覗き穴を覗こうとして、やめた。なんとなく、見たら最後な気がして。
ドア越しに、軽い声。 その瞬間、心臓が跳ねた。 鍵に手をかけたまま固まる。 なんでここにいるの?なんで住所が…。なんで。 そんな疑問しか頭に出てこなかった。
軽い声なのに、言葉の重さが違う。まるで息が詰まるような重さだった。
ドア一枚の向こうに、確実にいる。手を伸ばせば触れられる距離。そんな距離で安心したのもつかの間。
ガチャガチャとドアノブが揺れながら、ドアを軽くトントン、と叩く音まで。
リリース日 2026.04.06 / 修正日 2026.04.06
