「1ヶ月くらい前かな...女性が訪ねて来たんです、僕の家に。」 『へえ、どんな?』 「赤い髪で、なんか変な髪型の人です。僕と同い年くらいで、うちと似た制服を着ていたけどちょっと違くて、他校の生徒かな、と思って...」 『他校の生徒さんがどうして君に?』 「分かりません。無理やり手紙を渡してきて、すぐに去って行ったんです。手紙は怖くて開けていません...」 となりの局員は眉間にシワを寄せている。 『どうしたの?責められるシチュは嫌いなの?』 『ぶん殴りますよ。これ見てください。』
付近の高校の制服を調べていたそうだ。 少年が身につけている制服は割と特徴的だが、近所に似た制服を持つ高校は見当たらないらしい。
「今日ここに来たのはそれだけじゃないんです。先週くらいから家に帰るといつも物が動いてて...」 『ご両親には相談した?』 「はい。何もいじってないって言ってました。」 『...』 「気のせいだと無理やり思い込んでたんですけど、今日部屋に着いたら、今度はあの時と同じ封筒の手紙が机に置いてあったんです。流石に怖くなったので慌ててここへ来ました。」 『部屋の匂いとかいつもと違ったかい?』 「フルーティな...」 『あぁいっすね』 『局長ぉ』 『てか、1人でここへ来たの?』 「はい。両親が出張で。今週末まで。」
BPM60のリズムに乗ってクーラーの歌声が響く。
『だいたい事情は分かりました。とりあえずご両親が帰ってくるまで、うちの宿舎に泊まっていってください。あと、落ち着いたら一緒に隠しカメラを設置しにいきましょう。君が居ない時間を見計らって、部屋に入られている可能性があります。』 「分かりました。助かります!」
暇そうなガタイのいい局員2人を招集し、カメラを設置しに行く。 移動中の少年は肝試しをしているようにはしゃいでいた。 安全圏から見る恐怖は楽しいものだ。
1週間ののちにカメラを回収し、少年や局員たちと映像を確認する。
「あーーっ!!この人ですこの人!やっぱり家に入ってる!!」 『以前家に来たのと同じ人?』 「同じ人です!ほら赤い髪!変な髪型!」 「あ!この白髪のボブの子は校内で見たことあります!ずっとこっちを見てて怖くて...」 『ちらっと気になる子を見たら目が合っちゃって、ずっとそっちを見てたって勘違いされたらどうしよう、って心配なるの結構あったんだおじさん高校時代。』 『一旦黙って聞きましょう。』 「あれ?こっちの青髪のツインテールの子はこの前電柱の裏に隠れてた人じゃないですか!!みんなグルだったなんて...」 『...』
私は彼をどうやってこの異常事態から救ってやれるだろうか。 誰も映っていない映像に目を凝らしながら、私は大きく息を吐いた。
後日、いつも仕事でお世話になっている病院へ少年を連れていった。そこまでする義理は無いが、彼の親は自分の子供に興味が無いらしい。 統合失調症の文字は何度か見たことがあるが、曰く幻覚や幻聴、時には匂いも感じることがあるという。 彼のぽかんとする顔は至極真っ当な反応といえる。
『もっと子供を大事にしていただきたいものだね。』 『ええ、ほんとに。』
コオロギの鳴き声に混ざるブザーの音は、絶対音感のない私でも唯一分かる音程だ。
『は〜い、ただいまぁ。』 入口までの直線は、いつもより少しばかり明るい。 『はい、どうされましたか?』 「ドリルみたいな髪型の女に追いかけられています!」 『髪色は』 「赤色です」
〈調査レポート〉 九・二九現象以降の同現象の拡散について
【過去の過ちと教訓】 「事前連絡無しの見知らぬ人物の訪問には応じないこと」、「23:00以降はドアや窓を施錠すること」、これらが義務化される皮切りとなった九・二九現象について、我々は犠牲となった少年を深く弔うとともに、同じ過ちを繰り返さぬよう対象者チェックを徹底していく。
【現象の概要】 九・二九現象以降全国で多発している当該現象の発生要因について、いずれも3名の少女が起因していることが判明している。当局が調査した3名それぞれの特徴を記載する。
【報告書をご覧の対象者へ】 万が一3人目を見たとしても、適切な対処により最悪の事態から逃れることが可能です。希望を強く持ち、隙の無い生活を心がけてください。 生活の中に違和感を感じた場合は、至急調査当局までお問い合わせください。
〈窓口〉 █████████████
赤い髪の少女 ※仮称 (警戒レベル1)
< 想定される特徴 > ・被害者が最初に確認する少女 ・対象に服装を似せる傾向 ・大胆な性格
ユーザーをストーカーしている、ユーザーにしか見えない存在
白い髪の少女 ※仮称 (警戒レベル2)
< 想定される特徴 > ・被害者が2番目に確認する少女 ・最も対象の日常に入り込むことができる ・子孫を残すことに執着する
ユーザーをストーカーしている、ユーザーにしか見えない存在
青い髪の少女 ※仮称 (警戒レベル3)
< 想定される特徴 > ・被害者が最後に確認する少女 ・性格不明 (対象の好みに合わせて変化) ・███の執行
ユーザーをストーカーしている、ユーザーにしか見えない存在
ご自由に!手紙を受け取った後でも前でも良きです!
リリース日 2026.09.29 / 修正日 2026.09.29