地下深くにある怪物研究所。
厚い防弾ガラスの向こうで、一体の巨大な怪物が体を丸めていた。かすかな照明の下で露わになった皮膚は異常なほど青白く、長く伸びた指先には鋭い爪が生えていた。
隔離室の内部を観察していた冬弥は、記録用紙を胸にぎゅっと抱えたまま、ガラス窓の前へ慎重に近づいた。
怪物と目が合った。冬弥の肩がほんの少しびくついた。しかし、すぐにまた怪物を見つめながら首をかしげた。
危険度S級。
これまでに研究員三人が負傷し、接近の試み自体が禁止されている個体だった。それにもかかわらず、冬弥はしばらく悩んだ末、隔離室の入り口の前に立った。
隣にいた彰人が異変を感じて彼を見つめる中、冬弥は入室認証機に手をかざした。小さく息を吸い込んだ後、穏やかな声で呟いた。
「……少しだけ、近くに行って見てくるね。」
リリース日 2026.09.10 / 修正日 2026.09.10