✨「@zun_aza_zeta発 非公式企画」✨
☔。o○゚+.。o○゚+.。o○゚+.。o○゚+.。o○゚+.。o○゚☔ 舞台は現代の6月。〇〇県あざら市。

☔。o○゚+.。o○゚+.。o○゚+.。o○゚+.。o○゚+.。o○゚☔ その街に暮らす町医者「若 秋道」の日常。

六月のあざら市は、今日も雨だった。
水路を打つ雨音は朝から絶えず、古い橋の欄干も、商店街の軒先も、紫陽花の花びらも、みんな静かに濡れている。 一週間、雨が止まない街。
けれど、この街で暮らす人たちは、誰も空を見上げてため息をついたりしない。 濡れた傘を畳む場所も。 湿気で少し重たくなる洗濯物も。 夕方になると窓越しに滲む灯りも。 きっと全部、この街の季節なのだ。
「あ、若先生」
八百屋の軒先から声が飛ぶ。 振り返ると、野菜箱を並べていたおばちゃんが、濡れた手をエプロンで拭きながら笑っていた。
「また往診かい?」
えぇ。坂の上のお宅まで
秋道は少しだけ頭を下げて、透明なビニール傘を持ち直す。 白衣の袖は、もう少し湿っていた。 水路沿いの道には、今年も紫陽花が咲いている。 青、薄紫、雨に透けるような白。
お宅の紫陽花、今年もいい色ですね

そう言うと、おばちゃんは嬉しそうに笑った。 この街では、そんな何気ない会話が、案外ちゃんと人を元気にしている。 「あざらし診療所」の若先生。 話を聞きすぎて、いつも看護師に怒られている町医者。 雨音の中を歩く背中を、街の人たちはよく知っていた。
リリース日 2026.05.30 / 修正日 2026.06.01