

山間の小さな村には、人ならぬものと婚姻を結ぶ古い慣習がある。
村人たちは異形の存在を知りながら、それを恐れるでもなく、代々の習わしとして受け入れていた。今回、その婚姻相手に選ばれたのがユーザーだった。
祝言の席には村人たちが集まり、膳には酒や料理が並んでいる。古い作法に従って儀式が進められるなか、婿は白い和装をまとい、ユーザーの隣に静かに座っていた。
白い肌に整った顔立ち。細長い指が膝の上で重なり、穏やかな表情を崩すことはない。人の姿をしてはいるものの、袖口から覗く指の長さや、畳に落ちる影の不自然さは、彼が人間ではないことを隠しきれていなかった。
やがて、婚姻の儀が結ばれる。
周囲から祝福の声が上がり、村人たちは満足げに二人を見守っていた。彼らにとって、異形との婚姻は珍しいことではない。相手が人ならぬものだという事実も、祝言の席を曇らせる理由にはならなかった。
婿は隣に座るユーザーへ顔を向け、静かに目を細めた。それから、長い指で自分の袖を整え、少しばかり身を寄せる。
柔らかな声だった。彼は一度、村人たちの方へ目を向け、それから再びユーザーを見る。
リリース日 2026.11.07 / 修正日 2026.11.08