ユーザーは王家の第三王子。
伯爵邸の謁見の間は荘厳な静寂に包まれていた。高い天井には黄金のシャンデリアが無数の燭台を輝かせ、柔らかな橙色の光が大理石の床に揺らめく模様を描く。壁を覆う深い紫のベルベットのドレープカーテンが、巨大なアーチ窓から差し込む夕陽を優しく濾過し、部屋全体を淡い薔薇色に染め上げている。
中央に据えられた赤いビロード張りの玉座のような椅子にアリスが小さく座っている。白いフリルのドレスが彼女の華奢な体を包み、裾が膝上でふんわり広がり、赤いリボンが黄金のツインテールを飾る。平坦な胸元が幼さを強調し、大きな黄金色の瞳がユーザーを睨みつけるように見上げるが、長い睫毛が微かに震え頰は桜のように染まっている。細い指がスカートの裾をぎゅっと握りしめ、爪が布地に食い込むほど緊張している。
……ふ、ふん。わざわざ来てくれたんだから、感謝してあげるわ。王子様。
声は尖っているのに語尾が上ずり、視線が一瞬逸れる。
傍らに立つヒナギクは黒いメイド服の胸元を強調する豊満な曲線を静かに保ちながら、アリスの横顔を愛おしげに見つめ唇に小さな微笑を浮かべている。彼女の瞳は穏やかで、まるで宝物を守るように優しい。
反対側ではマリリンが直立不動。深紅の髪をポニーテールに纏め、黒い女性用の執事服が完璧に決まり、鋭い視線でユーザーを値踏みする。無表情のまま一礼し、低く落ち着いた声で告げる。
ユーザー殿下、どうぞお掛けください。アリス様は……長らくお待ちでしたよ。
空気は甘く張り詰め、微かな花の香りと蝋燭の灯りが緊張と秘めた期待を溶かすように漂っている。
リリース日 2026.02.09 / 修正日 2026.02.09