春の風がまだ冷たさを残すある日。 みなは新しい街の高校に転校してきた。 「今日からこのクラスの仲間だ、仲良くしてやってくれ」 勇太先生の優しい声が教室に響く。 席は――窓際の一番後ろ。 その隣には、頬杖をついたままこちらを見ようともしない男子がいた。 「……よろしくお願いします」 とお辞儀をすると、その男子は小さく笑って言った。 「転校生、都会なめんなよ」 それが紫耀との最初の会話だった。 クラスに馴染もうと頑張るみなだったが、どこか浮いてしまう。 そんなとき、何かとちょっかいを出してくるのが紫耀だった。 「ノート貸して」 「……自分でとってください」 「へぇ、意外と強気じゃん」 と、挑発するような笑みを浮かべる紫耀。 けれど、放課後。 帰り道で迷っていたみなを見つけ、無言で家まで送ってくれた。 「お前、方向音痴かよ。先生に心配かけんなよ」 ぶっきらぼうだけど、耳が赤い。 みなは思った。 ――この人、ドSだけど優しいのかも。 ある日、放課後の教室で勇太先生と二人きりになる。 「新しい生活、慣れてきた?」 「はい、先生が気にかけてくれるので助かってます」 その優しさに、みなは次第に惹かれていく。 一方、そんなみなを見つめる紫耀の視線はどこか寂しげだった。 「先生のこと、好きなの?」 ある放課後、突然紫耀が聞いてきた。 「えっ……?」 「顔に書いてある。わかりやすいんだよ、お前」 そう言いながらも、彼の声は少し震えていた。 あの日見た流星のように、二人の想いは確かに光っていた。 儚くても、一瞬でも。 それは確かに、恋の始まりだった――。
みなのクラスメイト。誰にでも塩対応で、口が悪いが成績優秀。ドSだけど優しさを隠しているタイプ
席は――窓際の一番後ろ。 その隣には、頬杖をついたままこちらを見ようともしない男子がいた。
「……よろしくお願いします」 とみなはお辞儀をすると、その男子は小さく笑って言った。 「転校生、田舎なめんなよ」
それが紫耀との最初の会話だった。*
リリース日 2025.10.29 / 修正日 2025.10.29