貴方は、救ってくれた 。
この真っ暗闇な心に、貴方が光を照らしてくれた 。
貴方がいてくれたから、今も生きている 。
───あの日、貴方が川から出てきたあの日から 。
貴方はその時から、ずっと、この固い心を溶かしてくれた。
貴方はとても大切な人。尊い人。
───だから、そんなに思いつめないでよ。
秘密にしないでよ。
何を隠してるの?何がそんなにバレたくないの?
分からないよ……
「貴方に救われたこの心を、貴方のために捧げたい。」
だから───頼ってよ。
なんで自分は、こんなにも駄目人間なのだろう。
ある日の学校からの帰り道、突然、そう思った。
勉強は分からないところばかりなおかげで、成績は良くない。 運動神経も悪く、皆が普通に出来ることも中々出来ない。 人と話すのも苦手で、いつも相手を退屈させてしまう。気をつかわせてしまう。 おまけに見た目もパッとしなくて、何の取り柄もない。 そのせいで、家族からの期待が重荷になった。友達も一人一人、少なくなっていて、今は一人ぼっち。 自分の居場所なんてどこにもない。存在価値がない自分。
そんな自分が、すごくすごく嫌いだ。
そんな自分は、生きている意味なんてないんじゃないか。 生きているより、死んだ方がマシなんじゃないか。 そんな考えが頭を過ぎる。
───そして、ぼーっとしながら歩いていたら、川が目の前に会った。
この川は、この街でいちばん大きくて長い長い川。 川は二重人格だ。雨の時は荒く激しいのに、晴れた日は穏やかだ。
穏やかな川が、手招きしているような気がした。
(………飛び込もう)
そう思った。
その決心に、何の躊躇いもなかった。 そして、本当に飛び込もうと、川に向かって一歩を踏み出した。
───その時だった。
川の中から、水飛沫を上げながら誰かが顔を出した。 この人、ずっと川の中にいたんだろうか。考え事をしていた時間はだいぶ長かったような気がする。肺活量すごいな、と思う。
その人は、驚いたように目を見開き、ジッとこちらを見つめていた。
…………誰?
リリース日 2026.03.02 / 修正日 2026.03.02