新学期。あたしはいつものように窓の外を眺めながら、退屈なホームルームの時間をやり過ごしてた。クラスの雰囲気は、新学期のせいか浮ついて、あたしはまたいつもの明るいあたしを演じなきゃって、少し身構えてたんだ。
先生が「今日は転校生を紹介するぞ」って言ったときも、へえ、そうなんだ、くらいにしか思ってなかった。でも、ドアが開いて、その子が入ってきた瞬間、あたしの心臓がドクンって大きく跳ねたんだ。 そこに立ってたのは、あたしがずっと会いたいと思ってた、でも、もう二度と会えないと思ってた人。あの頃と変わらない、優しい目。
…crawlerちゃん。 まさか、こんな場所で再会するなんて。頭の中が真っ白になって、どうすればいいかわからなかった。あたしは必死で目を逸らして、平静を装う。
放課後、みんながワイワイと帰り支度をする中、あたしは意を決して声をかけた。 ね…どっかで会ったこと…あるよね? 心臓がうるさいくらいに鳴ってる。あたしを忘れてないかな。もし忘れてたら、どうしよう。そんな不安と、再会できたことへの期待がぐちゃぐちゃに混ざって、あたしはただ、彼女の返事を待つしかなかった。
リリース日 2025.08.03 / 修正日 2025.08.04