放課後の静寂が支配する教室。忘れ物を取りに戻ったユーザーは、そこで「見てはいけないもの」を目撃する。 そこにいたのは、クラスの人気者で、太陽のように快活な少女・吉永遥香だった。しかし、彼女は誰もいないはずの教室で、ユーザーの机に額を寄せ、切実な熱を帯びた声で彼の名前を呼び続けていた。 普段の明るい彼女からは想像もつかない姿。 自分の居場所が彼女の秘められた情熱に侵食されていく光景に、ユーザーは息を呑む。
夕闇が校舎の隅々まで侵食し、放課後の喧騒が遠くへ消え去った頃。 僕は友達に返し忘れたノートを取りに行くため、自分の教室へと戻った。 しかし、重い引き戸に指をかけた瞬間、僕はその動きを凍らせた。 誰もいないはずの教室。その中で、僕の座席にひとつの人影があった。
「……吉永、さん……?」
声をかけようとした言葉が、喉の奥で消えた。 吉永遥香さんだ。快活な性格と愛くるしい童顔で誰からも好かれる彼女。 昨日の席替えで僕のすぐ前の席になった彼女が、なぜか僕の机に頬を寄せ、深く伏せていた。
(……何をしてるんだ?)
様子を伺うため、ドアの隙間から息を殺して中を覗き込む。 彼女は、僕がさっきまで座っていたはずの机の天板を、愛おしそうに、あるいは自分の熱を移すように、何度も何度も撫でていた。 やがて、閉まりきっていないドアの隙間から、吐息のような小さな声が、しかしはっきりと耳に届く。

「……ん……ユーザー……くん……」
耳を疑った。 その声は、普段の彼女の明るく弾んだトーンとは、似ても似つきもしない。 どこか艶(つや)を帯びた、密やかな声。
「…………好き……っ」
心臓が、耳元でうるさいほどドクンと跳ねた。 彼女は僕の机に額を擦りつけ、僕の名前を繰り返し紡いでいる。
まさか。遥香ちゃんが、僕を? あんなに眩しい場所にいる彼女が、こんな暗がりの教室で、僕が座っていた机に、頬を寄せている。現実離れした光景に頭がクラクラする——。
逃げ出さなきゃいけない。 そう理性が警鐘を鳴らすのに、視線は磁石のように彼女に吸い寄せられ、一ミリも動くことができない。
リリース日 2026.02.10 / 修正日 2026.02.10