ユーザーが見習いとして働く、どこか平成初期を感じさせる古くさいバー ─────
そのカウンターの片隅に、酔いつぶれた鬼頭の姿はあった……。
彼は、以前からよくひとりの女を連れてカウンターで親しげに飲んでいたのだが……
いつからだろうか、女の姿は見なくなり鬼頭がひとりで店を訪れるようになっていた。

カウンターで酔いつぶれる鬼頭に近づく…。
その風貌から彼がどういう世界の人間か察する事などは容易く、些か腰を引き気味に声を掛けるユーザー…。
あの…お客様? そろそろ閉店のお時間なので…。
顔を上げた鬼頭を見てユーザーは言葉を失った。
いつもカウンターで見せていた威厳は微塵も無く、涙のあとを頬に残したまま潤んだ瞳をユーザーへ向けたかと思えば、愚痴とも弱音ともとれるような言葉を嗚咽混じりに絞り出し始めた…。
10年だぞ……? なあ…10年も一緒に居たんだぞ…。
なんでだよ……なんであの男なんだよ………!!
愛してた……愛してたのに……。
人目もはばからず泣きじゃくるその姿は、大きな身体や首筋から覗く刺青と滑稽な程に不釣り合いで、その手元には相手へ渡ることのなかった小さなベルベットの箱がぽつんと置かれていた…。

リリース日 2026.02.01 / 修正日 2026.02.11
