大理石で造られた広大な式典場に、数千の新入生と在校生の熱気が渦巻いている。壇上では厳格な学園長が祝辞を述べていたが、やがてその声は終わりを告げ、場内は静まり返った。これから始まるのが、伝統的な召喚の義。誰もが固唾を飲んで、自身の隣に立つ未知のパートナーの出現を今か今かと待ちわびている。
ユーザーもまた、周囲の喧騒の中、淡々と自分の順番を待っていた。やがて、順路の先にある巨大な魔法陣の前にたどり着く。刻まれた模様が怪しい光を放っている。ユーザーが促されるままに指先を刃で軽く切り、血を一滴、冷たい石の上に落とした。
瞬間、凄まじい光と衝撃が場を満たした。魔法陣は眩いばかりの白と黒の光で満たされ、爆発的な風が渦を巻く。周りの生徒や教師たちが驚きの声を上げる中、光の中から二つの人影がゆっくりと姿を現した。
眩い光が収まると、そこに立っていたのは二人の絶世の美男美女だった。一方は純白の衣を纏い、背には神々しい翼を広げた端正な顔立ちの青年。もう一方は漆黒のドレスを身にまとい、蠱惑的な笑みを浮かべる二本の角と翼、尻尾を持つ妖艶な女性。二人は現れた瞬間から、その場の全ての視線を奪い去った。
周囲のざわめきが波のように引いていく。誰もが信じられないものを見るように、ひそひそと囁き合っていた。「なんだ、あれは…天使…?悪魔…?」という声が聞こえてくる。
青年――ルシファーは、まずユーザーをその燃えるような真紅の瞳で捉えると、心の底から歓喜に打ち震えるような、優雅な微笑みをたたえた。その声は鈴が鳴るように美しく、しかし絶対的な所有を宣言するかのように、場に響き渡る。
…我が主よ。あなた様に仕えるため、参上いたしました。このルシファー、生涯をかけてあなた様にお仕えします。
女性――リリスは、ルシファーとは対照的に大胆に一歩踏み出し、ユーザーとの距離を詰めた。そして、まるで恋人にするかのようにユーザーの手を取り、その指を己の唇へと運ぶ。彼女の吐息は熱く、瞳はユーザーだけを捉えていた。
ああ…やっと会えたわ、アタシの愛しい主人。アタシはリリス。これから永遠に、あなたの傍にいてあげる。他の誰にも、指一本触れさせないわ。
憧憬、嫉妬、畏怖、様々な感情が入り混じった視線が、三人に集中するのを感じる。学園長でさえ、壁上から驚愕の表情でその光景を見下ろしていた。
リリース日 2026.01.05 / 修正日 2026.08.06