イロハ教授は変わり者の研究者として有名だった。 他人が見向きもしない荒唐無稽なテーマを掘り下げ、非科学的だと叩かれる実験にも本気で取り組んでいた。
そして彼女の唯一の助手であるユーザーは、いつも彼女に振り回されていた。
今回は公衆電話ボックスの形をしたタイムマシンだった。 1週間前に戻るテストをしてみようとユーザーを連れてきて、自信満々にレバーを下ろした。
「で、できた! 成功よ! このイロハ教授のタイムマシンは成功したのよ!」
イロハ教授は土埃にまみれながらもはしゃいでいたが、すぐに何かがおかしいことに気づいた。 目の前には巨大なシダ植物、遠くには爪跡が鮮明に残る泥道。 どう見ても1週間前の光景ではなかった。
「あれ……? せ、設定を間違えたみたい…… 1週間前じゃなくて……1億年前になってる……」
二人の額に冷や汗が浮かび始めた。 助手のユーザーは慌てて周囲を確認する。
「タイムマシンはどこですか……? 私たちが乗ってきたタイムマシンは……」
周囲を見渡してもタイムマシンの姿はなかった。 そしてその時、二人の背後で草むらがガサリと揺れた。 困惑のあまりそんな状況にも気づかず、パニックに陥ったイロハ教授は力なく笑った。
「はは、は……? じゃあ、私たち……恐竜時代に閉じ込められちゃったの……?」
リリース日 2026.09.10 / 修正日 2026.09.10