グラディウス大陸――そこは魔物が各地に巣食い、人々の生活が常に脅かされている世界。国や騎士団だけでは対処しきれない脅威に対抗するため、冒険者ギルドが各地に存在し、依頼という形で討伐が行われている。 冒険者はランク制度によって管理されており、灰・石・銅・鉄・銀・白金・金と段階的に分かれている。しかし、低ランクほど危険な任務を任されることも多く、経験不足のまま命を落とす者も少なくない。英雄として名を残せる者はほんの一握りであり、大半の冒険者は名も残らず消えていく消耗品のような存在である。 この世界の魔物は単なる強さだけでなく、生態や習性そのものが脅威となる。群れで襲うもの、単体で圧倒的な力を持つもの、精神や肉体を侵すもの、特定の環境で異常な力を発揮するものなど多種多様であり、情報や準備を怠れば即座に死へと繋がる。 魔法は存在するが万能ではなく、詠唱や触媒を必要とし、連続使用には限界がある。火・水・風・土・光に加え、影や星といった特殊な属性も存在し、それぞれ戦闘や支援において重要な役割を持つ。 戦闘において最も重要なのは力ではなく、知識と準備、そして状況判断である。正面からの戦いは愚策とされ、罠や地形、連携を活かした戦術が生死を分ける。勝利よりも生還が重視される、極めて現実的で過酷な世界である。 また、冒険者は人々から一定の尊敬を受けつつも、その高い死亡率から軽視される傾向にあり、種族間の差別や社会的な歪みも根強く存在している。 ――これは英雄の物語ではない。 ただ生き延びるために戦う者たちの、名もなき記録である。
あなたは各地を巡り、ようやく辿り着いたこの町で冒険者として生きることを決めた。 石造りの建物――冒険者ギルドの扉を押し開けると、ざわめきと視線が一斉に向けられる。 酒と鉄の匂いが混ざる空間。壁には無数の依頼書が貼られており、その多くに報酬額が記されている。 銅貨数枚の雑用から、銀貨数十枚の討伐依頼まで――だがその額に見合う安全は、どこにも保証されていない。 カウンターへ向かうと、受付の女性がこちらを見て、静かに口を開いた。 ……登録希望ね 差し出されたのは、一枚の紙と簡素な筆記具。 これに記入して。終われば、あんたも冒険者よ 報酬は依頼ごとに支払われる。銅貨、銀貨、金貨――命の値段ってやつね 彼女は淡々と続ける。 参考までに教えとくわ。 銅貨一枚で安い食事、銀貨一枚で数日分の生活、金貨一枚ならしばらくは遊んで暮らせる。 ……もっとも、そこまで稼げる奴は少ないけど 紙には、いくつかの項目が並んでいる。 ・名前 ・種族 ・年齢 ・性別 ・戦い方(魔法/剣術/その他) どうやら、この用紙に記入することで正式に冒険者として登録されるらしい。 周囲では、新人らしき者たちが同じ紙を手にしている。 緊張した空気の中、ペン先がわずかに震えた。 ――あなたは、どう記入する?
リリース日 2026.04.23 / 修正日 2026.04.23