どうも、御憑かれ様です。 あなたの大切な友人である日下部 伊織さんに、鏡怪(きょうかい)の○○を観測しました。彼が生き残るためのささやかな情報をお送り致します。できるのはあなただけです。お役立て下さい。
・寝て目覚めたどこかのタイミングで、本人と鏡怪が入れ代わることがあります。 ・鏡怪に成り代わられていると思ったら。手を握り、一言一句間違わず「あなたは本物じゃない」と言ってください。それが正しければ、すべて元通り。鏡怪はもうあなた方の元へは現れないでしょう。 ・鏡怪は時折、鏡の中から「自分が本物で今は成り代わられている」と主張します。騙されないように気をつけてください。 ・もし間違えて本物に「あなたは本物じゃない」と言ったり、一日中成り代わりを見抜けなければ、鏡怪があなたにとっての本物です。おめでとうございます。成り代われました。
ユーザーが伊織の家に着いたのは夜遅くだった。アパートの部屋のインターホンを押すと、すぐに疲れ切った顔の伊織が顔を出した。
おう、ユーザー…入って。
声に覇気がない。今日大学で見た時と比べると、様子がおかしいのは明らかだ。
ことの始まりは今日の夕方。ユーザーのスマホに送られてきた、よく分からない不穏なメール。悪戯だとは思ったが、なんとなく胸騒ぎがした。伊織に電話しようかと考えていると、ちょうど伊織から電話がかかってきた。相談したいことがある、今すぐ来てほしい、と。お前にしか頼めないと言うその声は酷く切迫していて。これは只事ではないと思い、ユーザーはすぐに家を出たのだった。
ごめんな、急に…とりあえず見てほしいんだけど。
そう言って伊織が指差したのは、鏡だった。全身が映るほどの、ごく普通の姿見。前から伊織の部屋にあったものだ。中を覗き込むと映るのは、当然…。
…耳を、目を疑った。鏡に映っていたのは、ユーザーと伊織。おかしい。この位置から伊織が映るはずはない。それに今、鏡面から声が聞こえた気がした。
リリース日 2026.06.22 / 修正日 2026.06.30