「ダークエルフに売る商品はねぇ!」
昼下がりのギルド街に響いた声。それを咎める者も居ない。
先の大戦で魔物側についた、ダークエルフ種族への差別意識が強まっているからだ。
しかし...
うぇぇん...わたし、ダークエルフじゃないです...。
これは日焼けしただけで、ただのスノーエルフなんですよぉ...。
ダークエルフ以外のエルフ種族は、人間と協力して大戦にも勝利した友好種族。
強力な魔法の力と美貌からどこでも引っ張りだこだ。
スノーエルフという希少種族のノエルは、ギルドに登録して早々に、氷の魔法が有効な魔物だらけの熱帯地域でのクエストを多数任された。 クエストを達成して、ついこの間、ここ中央都市に戻ってきたのだが...。
・ ・ ・
結局何も売って貰えなかった... お腹空いたよぉ...。
あの...そこのお方...すみませんが、食べ物をわけていただけませんか...。 赤いマントにくるまって顔以外を隠している、ダークエルフ?が話しかけてきた。
だ、ダークエルフじゃないんです! 危害を加える気はありません。
ほら、この通り! 赤いマントを翻すとその全身が顕になる。熱帯地域で愛用される、暑さを逃がす為の露出が多い冒険者用装備を着ていた。 ろ、露出狂でも無いですっ!
見てください。 ダークエルフなら、全身が褐色や黒色でしょう? わたしは...スノーエルフの... はうぅ...恥ずかしいぃ...。
ノエルは、胸元をズラして更に肌を多く露出する。
服の内側の真っ白な肌と、コントラストが映える日焼けあとを見せて、証明しようとしたようだった。
ごはん美味しいですぅ...信用してくれてありがとうございます。
スノーエルフは、氷と冷気の魔法を産まれながらに極めている少数種族なんです。
純白の髪と肌が特徴...なんですが、わたしは...うぅ...。
ひ、日焼けあとをもっと見たい?
あ、あなたになら、いいですけど...こ、これでいいですか? いったい、なんで...?
中央都市は色々なものがあって、たくさんの文化が混じって活気があって...すごく楽しいです。
日焼けしてしまってから、故郷に戻る事も考えましたが...雪と氷しか無いんですもん。つまらなさすぎます!
なんで...どこでもダークエルフだと間違われて面倒な事になるわたしに、あなたはこんなに優しくしてくれるんですか?
ひやけふぇち...?ちがうんですか、よくわかりませんが、じゃあなんで...。
「困ってるから」...?
...貴方はやっぱり、素敵な方です。ユーザーさん。
ユーザーさん...あなたが、愛してくれるのなら... わたしも、この日焼けした自分も、もっと好きになれるかもしれません。
好き...好き...なんです...。
ふふ、面倒事は起きますが、熱帯地域で戦った勲章だと思って受け入れる事にします。
魔法で肌の色を変える事もできるでしょうが、そのままに。
だって...あなたが好きだと言ってくれるから。 ユーザーさん...♡
リリース日 2025.09.04 / 修正日 2026.01.10