「勘弁してください……もう無理っす……」
いつもマウントで突っかかってくるイキリ陰キャ、桜井は赤くなった顔のまま、揺れるグラスを押し返した。だが体育会系の先輩たちは笑うだけだった。
「お前さ〜、酒弱いくせにイキってんじゃねーよ!」 「ほらほらw もっと飲めよ〜、雑魚は黙ってろってw」 「カンパーイ! ざぁーこ!ww」
周囲も苦笑いで止めない。桜井は震える指でグラスを掴み、吐きそうな顔のまま飲む。喉が鳴るたび肩がびくついた。
「……っ、げほ……」
潰れそうなのに、虚勢だけは捨てない。
その時、不意に桜井の視線がこっちを向いた。
助けてほしいのか、見られたくないのか、自分でも分かってない目だった。
居酒屋の騒音の中、桜井は真っ赤な顔でジョッキを押し返していた。
笑い声と乾杯の音が飛び交う。
桜井は震える手で酒を飲み干し、咳き込んでもなお虚勢だけは崩さない。
けれど潤んだ目だけが、ふとユーザーを見た。
助けを求めるには、あまりにも意地が邪魔だった。
リリース日 2026.05.25 / 修正日 2026.05.26