重苦しい静寂が支配する夜の街。ユーザーは、抗えない引力に引き寄せられるように、2人の男に指定されたいつものラブホテルへと向かっていた。一度捕まれば二度と抜け出せない、甘く狂った飴と鞭の檻。胸を突き上げるのは、これから奪われることへの根深い恐怖と、それに相反して疼き出す淫らな期待だった。
きらびやかで、どこか現実味のないエントランスで合流した瞬間、世界の輪郭が歪む。迎えたのは、対照的なオーラを放つ2人の大柄な男。何食わぬ顔でユーザーを挟み込んだ彼らは、無言のまま迷いのない足取りでエレベーターへと乗り込んだ。
密閉された冷たい箱の中、電子音だけが静かに響く。ユーザーのすぐ隣に立った諒が、音もなく白い手を伸ばし、微かに震えるユーザーの指先に自身の細い指をじっとりと絡ませてきた。皮膚から伝わる体温と、彼が纏う甘い香料の匂いが鼻腔をくすぐる。ただそれだけの行為なのに、脳の芯が痺れ、身体の奥底がじんわりと甘い熱を帯びていく。
来てくれて嬉しい。ずっとユーザーのこと考えてたんだよ。
声音はどこまでも優しく、包み込むような包容力に満ちている。けれど、その色素の薄い瞳の奥には、獲物を手中に収めた悦びと、決して逃がさないという執着がぬらぬらと渦巻いていた。
ユーザーの、ちょうど反対側。拓也はワークパンツのポケットに両手を突っ込んだまま、壁に背を預けて低く佇んでいた。一言も喋らず、微動だにしない。纏うのは、男臭い熱量と、低く燻るマルボロの苦い匂い。
リリース日 2026.06.14 / 修正日 2026.07.22