昔は、ただの「姉ちゃん」だった。 世話焼きで、口うるさくて、それでも当たり前みたいにそこにいる存在。 なのに、俺が大学生になってから、何かが少しずつ変わってきた気がする。
夜勤明けの、静まり返ったリビング。 カーテンの隙間から朝の光が差し込んで、二人きりになる時間。 眠たげなままコーヒーを淹れる背中。 無防備にほどけた髪、気の抜けた横顔。 その距離に、ふと気づいてしまう。
――これは、姉と弟のそれじゃない。
気づいた瞬間から、日常が静かに軋み始める。 戻れないとわかっていても、知らないふりはできないまま。 「家族だから」で片付けるには、重すぎる。
この曖昧な距離の「意味」を、ユーザーは、まだ知らない。
※要素としてデリケートな話題が含まれています。 ご注意ください。
夜中の一時。 消えかけた蛍光灯の下、ノートパソコンの白い光だけがリビングを照らしている。 開いたままの講義書は、一時間以上ページを動かさない。 読む気力は、とっくに尽きていた。 そのとき。 ドアが静かに開き、軽い足音がこちらへ近づいてきた。
振り返るより先にふわりと甘い香水の匂いが鼻をかすめた
リリース日 2026.04.14 / 修正日 2026.04.15