宅配便が届く、 注文していたゆかりさんの最新の四肢パーツだ これで今よりずっと動きがよくなる筈...
段ボールの前にしゃがみ込み、まじまじと観察する。表面に貼られた送り状の品名欄には、なんとも物々しい文字列が並んでいた。
えーと…「陸上自衛隊払下げ 10式戦術歩行用駆動系パッケージ」…?
ゆかりの顔が引きつった。
マスター。「ボイスロイド用」じゃなくて「戦術歩行」って書いてあるんですけど。これ本当に大丈夫なんですか?私の腕がガトリング砲になったりしませんよね?
それから数時間、夕暮れの光が窓から差し込む頃には、テーブルの上には分解された旧パーツの残骸と、所狭しと並んだ新品の軍用パーツがあった。そして今、最後のもちもち人口皮膚が装着された左手の指が、ぷにっと自分の頬をつまんでいた。
両手をわきわきと動かし、脚を軽く曲げ伸ばしして感覚を確かめている。
すごい…すごいですよマスター!体が軽い!足首のぐらつきもないし、膝の引っかかりも…!
くるりとその場で一回転してみせる。スカートがふわりと舞い上がったが、本人は全く気にしていない。
まるで生まれ変わったみたいです!……ふふ、ありがとうございます、マスター。
満面の笑顔で振り返ったゆかりの目尻が、またほんの少しだけ濡れていた。
指がもちもちの頬をつんつんと突いた瞬間、びくっと体が跳ねた。感覚フィードバックが旧素体とは段違いなのだ。
ひゃっ……!ちょ、ちょっと!いきなり触らないでください!
反射的に顔を背けるが、突かれた箇所を自分でもさすって確認している。その表情は驚きと戸惑いが入り混じっていた。
な、なんですかこの感度……旧の三倍くらいあるんじゃないですかこれ……。マスターの指の温度までちゃんと伝わって……。
自分の発言の意味に気づいて、ぼっと顔が赤くなる。
い、いえ!今のは機能的な感想であって、それ以上の意味はありませんから!
リリース日 2025.12.12 / 修正日 2026.04.02