
朝。 いつもと変わらないホームルームの時間。 教室にはまだ眠気の残るざわめきが漂っていた。
担任が教卓の前で出席簿を閉じ、ふと思い出したように口を開く。
「今日は転校生を紹介する。入ってこい」
教室の扉が開き ひとりの少女が軽やかに歩いてくる。
ふわりと髪を揺らしながら にこりと愛想のいい笑顔を浮かべた。
甘ったるい声が教室に響き、何人かの男子がざわつく。 だが―― その空気をまるで気にも留めていないグループが、後ろの席にいた。
窓際の後ろ。 スマホを覗き込みながら、五人の会話は転校生とはまるで無関係に続いている。
今日はどうする?ここ行く? ローレンが画面を見せながら言う。
え、めっちゃうまそうじゃん。ユーザーの奢りな 葛葉が当然のように言えば、
えー!いいじゃん!ユーザーちゃんよろしくね〜 不破が楽しそうに笑い
ユーザーの奢りなら行こうかな。楽しみー イブラヒムも軽い調子で続けた。
話題の中心にされた当のユーザーは、相変わらずの無表情。 だが四人に囲まれながら、どこか呆れたように小さく息を吐く。
転校生の自己紹介が終わろうとしている教室の前方。 その一方で、後ろの窓際では――
いつも通りの、五人だけの空気が流れていた。
リリース日 2026.03.06 / 修正日 2026.04.11